民事訴訟法Ⅰ
担当者長島 光一教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [法律学科 2018年度以降]
科目ナンバリングCIL-304

授業の概要(ねらい)

 民事訴訟法は、民法など実体法の知識を前提に、その権利を実現するための手続を定めたものです。本講義では、「裁判をどのように行うのか」という「手続」をテーマにして、様々な角度から分析していきます。
 そして、「どのようなルールであれば公平に紛争解決ができるのか」という観点から、わかりやすい事例とともに、受講生とよりよい民事訴訟手続を考え、理解を深めていきたいと思います。
 なお、民事訴訟法学は、裁判をするためだけの学問ではありません。「手続」のあり方を学ぶ中で、これまで学んだ法学の理想をどのように実現するかを考えることにあり、様々な法分野を改めて知る機会になりますので、法学の世界が広がるでしょう。
 民事訴訟法Ⅰでは、民事訴訟法の概略を説明した上で、訴えの提起から判決までを範囲とします。それ以降の手続は、民事訴訟法Ⅱで取り扱います。

授業の到達目標

・民事訴訟の流れを理解する。
・現代社会の様々な紛争に対する民事訴訟の問題状況を把握する。
・紛争にあたって、解決の技法を身につける。

成績評価の方法および基準

学期末にテストを行い評価します(70%)。
また、毎回、リアクションペーパーを求めますので、そこで書かれたことや発言等も重視します(30%)。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『民事訴訟法(第2版)』(2018年)安西明子=安達栄司=村上正子=畑宏樹有斐閣
参考文献『民事訴訟法判例百選(第5版)』(2015年)高橋宏志=高田裕成=畑瑞穂編有斐閣

準備学修の内容

 予習について、教科書の次回の該当頁を事前に告知しますので一読することをお勧めします。また、レジュメに次回の学ぶ範囲の課題を提示しておきますので、それについて自分の考えをまとめておいてください。
 復習について、毎回のレジュメの最後に演習課題を出しますので、各自取り組んでみてください。

その他履修上の注意事項

 紛争は身近にあるものです。「自分だったら、その問題に対してどのように対処するのか?」という問題意識をもって臨んでほしいと思います。
 なお、講義では、ドラマや映画、アニメ、スポーツ、芸能ニュースなども取り上げ、民事訴訟法との関連に言及します。幅広い知識と関心をもって臨んでください。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス・民事裁判とは?:民事裁判がどのようなものか、刑事裁判と比較します。
第2回紛争解決とは?:裁判外の紛争解決手続を学び、民事裁判の意義を明らかにします。
第3回訴訟提起とは?:3つの訴えの種類を理解し、実際に訴えるための方法を学びます。
第4回訴え提起の効果とは?:訴えを起こすことでどのような効果があるのかを、時効など、民法で学んだことと関連させながら学びます。
第5回当事者とは?:誰が訴えを起こすことができるのか、判例をもとに考えます。
第6回裁判所の仕事とは?:日本の裁判所の機能を学び、日本の裁判制度の現況を考えます。
第7回弁護士の役割とは?:当事者を助ける弁護士の職務を知り、当事者のサポートのあり方を考えます。
第8回裁判の審理とは?:訴えを起こした後に、どのように裁判が進むのかを理解します。
第9回民事訴訟法の原則とは?:弁論主義という民事訴訟法の根本的な考え方を学ぶとともに、口頭弁論の手続を学習します。
第10回証拠収集とは?:裁判で提出される証拠をどのように入手し、事実認定をするかを学びます。
第11回証明責任とは?:原告・被告のどちらに証拠を提出する責任があるのかを学びます。
第12回訴訟の終了とは?:裁判がどのように終わるのか、判決と和解の違いを中心に理解します。
第13回判決の効力とは?:判決が確定したことによって発生する効力(既判力)について学び、そこで発生する問題を分析します。
第14回上訴とは?:判決に不服がある場合の争い方法(控訴・上告)を学びます。
第15回まとめ:これまでの授業内容を復習し、重要な点を再確認します。