外国につながる子どもの教育
担当者日野 純子教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [教育文化学科]
科目ナンバリングJLE-202

授業の概要(ねらい)

 日本の国籍の有無にかかわらず、異なる「ことば」「文化」「国や地域」をもつ「外国につながるもつ子どもたち」について理解を深め、そのライフコースによりそって支援していていくにはどうしたらよいかを考えていくクラスです。入国管理法が改正による外国人疑の実習生の増加や、「日本語教育推進法」が施行により、幼稚園・保育園から大学、そして職場や地域においてまで、外国にルーツを持つ人たちへの支援は、教員だけでなく、社会全体で考えていかなければならない喫緊の課題です。このクラスでは、はじめに「外国につながる子どもたち」の実情について、事例を見ながら理解します。それぞれの事例から、これらの子どもたちがかかえている「ことば」(日本語・母国語)「学習・学力」「教育」「習慣」「家庭」「アイデンティティー」「キャリア」などの問題について、解決策を探っていきます。幼稚園・保育園、小学校、中学校、高校だけでなく、地域の施設やボランティア団体などの多様な場面で、効果的な支援ができるよう準備します。

授業の到達目標

 (1)外国につながる子どもたちの歴史と現状を理解し、自分のことばで説明できる。
 (2)外国につながる子どもたちのかかえる課題について、広い視野から認識し、自分自身の問題にひきよせて、考えることができる。
 (3)外国につながる子どもたちのライフコースによりそった指導ができるよう、他者の立場に立った支援のための基本的スキルを身につける。
 (4)外国につながる子どもたちの日本語支援・学習支援のあり方を具体的に考え実践できるようになる。

成績評価の方法および基準

 (1)平常点(授業への参加、ワークシート) 50%
 (2)中間のまとめテスト・最終のまとめテスト 50%
  *正当な理由なく5回以上欠席した学生には、単位を与えられません*

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『外国人児童生徒のための支援ガイドブック-子どもたちのライフコースによりそって-』斎藤ひろみ編・著凡人社
参考文献1『イチからはじめる 外国人の子どもの教育』臼井 智美著教育開発研究所
参考文献
参考文献
参考文献

準備学修の内容

 このクラスでは、教員による講義だけでなく、ペアやグループでの話し合いや個人での作業をしながら学んでいきます。その準備として、指定された教科書の章や参考文献を事前によく読んだ上で授業に参加しなければなりません。毎週およそ10数ページの読解が必要です。また、ことばがまったく分からない子どもたちのことを理解するためのことばやジャスチャーを使った活動も行います。読んできたことを基に行う話し合いや作業の結果を毎回、ワークシートに記入して授業の最後に提出しますので、クラスメートとよく協力し、積極的に参加する姿勢が求められます。また、グループによるプレゼンテーションも行いますので、そのための、授業時間以外での話し合いや準備も求められます。

その他履修上の注意事項

 1各自、真摯な態度で授業や課題にのぞみましょう。
 2遅刻、早退、欠席は避けましょう。
 3グループやペアでの作業には、相手を尊重しつつ積極的に参加しましょう。
4大学での学びは、教員から一方的に与えられるものではありません。一人一人が他者に配慮をしながら、積極的に授業に参加することでよいクラスになり、みなさんの学びと成長につながります。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション
第2回「外国につながる子ども」とは  定義・現状・支援の形態・問題点について基本的事項を理解する
第3回「外国につながる子ども」のライフコース ケース1(王 さん)ケースを通して、支援に必要なことを、特に「子どものアイデンティティー」を軸に考える
第4回「外国につながる子ども」のライフコース ケース2(カルロスさん)ケースを通して、支援に必要なことを、特に「ステレオタイプ」を軸に考える
第5回「外国につながる子ども」のライフコース ケース3 (グエンさん)ケースを通して、支援に必要なことを、特に「子どもの母語と日本語の関係性」を軸に考える
第6回「外国につながる子ども」のライフコース ケース4 (サミーラさん)ケースを通して、支援に必要なことを、特に「子どもの自尊感情」を軸に考える
第7回「外国につながる子ども」のライフコース ケース5 (グロリアさん))ケースを通して、支援に必要なことを、特に「他の子どものとの関わり」を軸に考える
第8回第1~7回目の振り返り・中間のまとめテスト
第9回全人教育としての日本語教育・JSLカリキュラムについて、基本的事項を習得し、現状と課題について分析する(第2部 第1章)1
第10回外国人児童生徒のための各プログラムについて、基本的事項を習得し、現状と課題について分析する(第2部 第2章・第3章)
第11回日本語指導の実践1 サバイバル日本語プログラム・文字プログラムについて、基本的事項を習得し、実際の指導に使える教材や指導案を作成する
第12回日本語指導の実践2 日本基礎プログラム・文型プログラムについて、基本的事項を習得し、実際の指導に使える教材や指導案を作成する
第13回日本語指導の実践3 JSLプログラムについて、基本的事項を習得し、実際の指導に使える教材や指導案を作成する
第14回外部講師(小学校日本語教室での支援)実際に外国の子ども指導に当たっている方の実践から、現状の問題点を分析する
第15回まとめ・復習・最終のまとめテスト