精神医学特論
担当者池田 政俊教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [文学研究科 臨床心理学専攻]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 「長期にわたる無料の精神療法は有害である」と臨床場面ではよく言われる。その意味するところがわかるだろうか。心理臨床に携わろうとする者は、どのような心理療法がどのようなこころの病に有効なのか、また有害、禁忌なのかを知り、それを見立てることが求められる。またそもそも病とは何か、「治る」とはどういうことか、といった基本的な問題に立ち返って考えていくことも必要であろう。
 本講義では、精神医学の基礎知識(精神病理学、精神分析的・力動的精神医学を含む)、精神科診断学、精神科症状学、精神障害の基礎知識を学ぶ。

授業の到達目標

 本講義では、精神医学の基本的な考え方や、症状、経過、病歴にそって精神障害を診断・治療するための知識を修得するだけではなく、一人の人間としてクライアントを理解することに重点を置き、力動精神医学、特に精神分析学の観点からこころの病をどう理解するかを学ぶことを目標とする。

成績評価の方法および基準

 報告・討論への参加を通して、各自の理解力・考察力および表現力などを総合的に判断する。出席点も考慮する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テキスト:『知っておきたい精神医学の基礎知識―サイコロジストとコ・メディカルのために』(単行本) 上島 国利(編集)、平島 奈津子(編集)、上別府 圭子(編集)
誠信書房
教科書 その他、教員がPPやビデオなどを都度提示する。
 参考文献:HPなどでその都度提示する。
参考文献精神力動的精神医学ーその臨床実践 第5版(DSM-5準拠) グレン・O・ギャバード(著)、奥寺崇(監訳)、白波瀬丈一郎(監訳)、池田暁史(監訳)
岩崎学術出版社

準備学修の内容

 参考書は、指定図書として図書館に10冊準備してある。参考書の該当部分を、分担して各講義前に熟読し、レジメand/or PPTを作成し、30分間ほど他の受講生の前でプレゼンテーションしていただく予定である。他の受講生もテキスト、参考書(指定図書)を熟読し、池田のHP(http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/~m-ikeda/index.htm)にUPしてある「精神病理学概論」と「精神医学概論」の該当部分を事前に見ておくことが望まれる。

その他履修上の注意事項

 この講義は「心身医学特論」と連動している。履修者は秋期に「心身医学特論」を履修することが強く望まれる。
 適宜池田のHP(http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/~m-ikeda/index.htm)を参照すること。
 真剣に学ぼうとしている他の院生の邪魔をしないこと(私語、携帯電話、担当時の欠席など)。
 主体的・創造的な参加が望まれる。

授業内容

授業内容
第1回 基本的にはテキストを使用する。初めにテーマ別に発表者と討論者を決める。発表者は事前に十分に内容を理解するよう努力して、それを要約したレジュメや参考文献、資料を準備してA4、2~4枚程度にまとめ、当日は他の履修者が内容を理解できるように発表する。討論者には質問と討論の中心になることが求められる。発表者には、こうした質問や討論に対応できるだけの準備が求められることになる。その後、教員が補足的な講義を行う。
 概ね以下の順番で行う予定である。
 発表者、討論者の分担決定など。
第2回 1.精神医学を理解するための基礎知識、精神病理学
 (1)精神医学の概念について学ぶ
 (2)精神医学の歴史について学ぶ
 (3)患者の人権と倫理について学ぶ
第3回 (4)精神障害の成因と分類について学ぶ
第4回 (5)脳と神経の機能と形態について学ぶ
 (6)睡眠と覚醒について学ぶ
第5回 (7)ライフサイクルと発達課題について学ぶ
 (8)心的防衛機制とコーピングについて学ぶ
 (9)パーソナリティについて学ぶ
第6回 2.精神科診断学の基礎知識について学ぶ
 (1)精神科診断の進め方について学ぶ
 (2)理化学的検査について学ぶ
 (3)心理検査について学ぶ
 (4)神経心理学的検査について学ぶ
第7回 3.精神症状学の基礎知識について学ぶ
 (1)精神症状の把握の仕方
 (2)疎通性と病識
 (3)主な精神症状
 (4)精神症状評価尺度
 (5)脳と神経の症状、高次脳機能障害、脳局在症候群
第8回 4.精神障害の基礎知識(オンライン)
 (1)統合失調症について学ぶ
 (2)妄想性障害について学ぶ
第9回 (3)感情障害、気分障害について学ぶ
第10回 (4)器質性・症状性精神障害について学ぶ
 (5)てんかんについて学ぶ
 (6)精神作用物質による精神障害について学ぶ
第11回 (7)神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害について学ぶ
 (8)性に関する精神障害について学ぶ
 (9)虚偽性障害について学ぶ
第12回 (10)心身症について学ぶ
 (11)摂食障害について学ぶ
 (12)睡眠障害について学ぶ
第13回 (13)パーソナリティ障害について学ぶ
第14回 (14)乳幼児の精神疾患について学ぶ
 (15)児童・思春期の精神障害について学ぶ
 (16)老年期の精神障害について学ぶ
第15回 まとめと小テスト