西洋政治思想史Ⅰ
担当者
単位・開講先選択  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHIT-205

授業の概要(ねらい)

西洋古代の政治思想を、代表的な思想家の著作と図像史料の2本立てで読解する。
思想家については、プトラン『国家』とアリストテレス『政治学』を取り上げ、古代ギリシア特有の国家であるポリスのあり方や、男性市民本位のジェンダー思想がどう反映しているかを読み解く
図像については、古代アテネのパルテノン神殿の彫刻と古代ローマの公共建築を取り上げ、それぞれの中に前5世紀アテネ人とローマ皇帝たちの政治思想を読み取る。近代以前の芸術作品の多くは、王や皇帝あるいは国家自体といった権力者が特定の意図をもって作らせたものであり、そこには彼らの政治的価値観が込められている。その読解を通じて、芸術作品を単に「見る」のでなく、「読む」ことの面白さを味わってほしい。

授業の到達目標

思想家の著作を正確に読解し、その内容を的確に要約し、ポリスの現実に照らし合わせて解釈できること
図像史料の客観的な作品記述ができること 
図像に込められた政治思想を、当時の歴史的文脈に照らして読み取り、その内容を的確に表現できること  

成績評価の方法および基準

中間試験40%、期末試験60%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書毎回プリントを配布する
参考文献

準備学修の内容

前回の授業のプリントとノートを読み直しておくこと

その他履修上の注意事項

毎回小さな課題を出して答案を書いてもらい、その提出をもって出席を認定する

授業内容

授業内容
第1回(オンライン授業)
オリエンテーション、古代ギリシア史概説、パルテノン神殿の概要
第2回パルテノン神殿の政治学(1)メトープの4つの神話はなぜ選ばれたのか、それらはアテネ人のペルシア戦争観とどう関連するか
第3回パルテノン神殿の政治学(2)フリーズに描かれた祭典は何を物語るか
第4回(オンライン授業)
パルテノン神殿の政治学(3)破風とメトープのジェンダー解釈:アテナ女神の勝利は何を意味するか
第5回プラトンとアテネ民主政:なぜ彼は哲学を志したのか
第6回プラトン『国家』における理想国家論とそのジェンダー解釈
第7回アリストテレス『政治学』におけるポリスの形成と政体論
第8回アリストテレス『政治学』における奴隷制論
答案の書き方練習
第9回前半のまとめと中間試験
第10回答案の返却と講評、書き直しの指示
古代ローマの公共建築(1)アウグストゥスの「平和の祭壇」、ウェルギリウス『アエネーイス』による皇帝権力の正統化
第11回古代ローマの公共建築(2)コロッセウムの建設とティトゥス帝の凱旋門
第12回記憶の抹消(ダムナティオ・メモリアエ)はなぜ行われたのか
第13回古代ローマの公共建築(3)トラヤヌス帝とハドリアヌス帝の記念柱
第14回ビザンツ帝国の聖ソフィア大聖堂におけるモザイク画
第15回後半のまとめと期末試験