教育方法論
担当者森  一平教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [教育文化学科]
科目ナンバリングEDU-205

授業の概要(ねらい)

 教師とは、子どもたちによりよき学びを提供する職業である。そうである以上、教師が行う教育はでたらめに行われてはならず、熟慮された方法に裏づけられたものでなければならない。
 私たちはみな学校教育を経験してきているから、教師の用いる教育方法を、すでにいくらかは体験的に知っている。そしてそれを真似てみることは、実はそう難しいことではない。しかし、物真似がオリジナルのすべてを汲みつくせるわけではないし、そもそもその方法が目の前の子どもたちにとって充分なものであるとは限らない。したがって教師を志す者は、自分なりのよりよい教育方法をみずから作りあげていく必要がある。
 そのために本講義では、特に戦後日本の教育方法史に焦点を当て、そこで蓄積されてきた著名な教育方法の「遺産」を学びとることで、みずからよりよい教育方法を考案する力の獲得をめざす。

授業の到達目標

①教育方法をめぐる歴史の展開を概説できる。
②教育方法をめぐる歴史的な成果のいくつかを詳細に説明できる。
③②の歴史的成果に現代的意義を見出し、みずからの教育方法を構想することができる。

成績評価の方法および基準

・中間課題(対面の場合グループワークの成果物):50%
・最終レポート:50%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『小学校教師の専門性育成』帝京大学教育学部初等教育学科初等教育コース編(2020)現代図書
参考文献『新しい時代の教育方法』田中耕治・鶴田清司・橋本美保・藤村宣之(2012)有斐閣アルマ
参考文献『戦後日本教育方法論史(上・下)』田中耕治編著(2017)ミネルヴァ書房

準備学修の内容

・毎回の講義内容はたがいに関連しあっており、すでに講義した内容を前提にそれ以降の講義がおこなわれる。受講者は前回の講義で配布された資料を読み込み、充分に復習したうえで次回の講義に臨むこと。
・あらかじめ資料や文献を配布し、その読解を宿題とすることがある。その場合にはただ機械的に読むのではなく、そこから自分なりの意見を引き出すような読みをおこなうこと。

その他履修上の注意事項

 この授業はグループワークを含む授業であるため、学生たちの積極的な参加が非常に重要となる。受講者には、グループワーク時に他人任せにせず、みずから積極的に意見を表明する態度を求める。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション――理論知と実践知の融合としての教育方法論
第2回戦後日本における教育方法論史概説
第3回生活綴方教育の方法論(1)――戦前における萌芽と戦後におけるその継承
第4回生活綴方教育の方法論(2)――そのバリエーションと現代的展開
第5回生活指導の教育方法論(1)――生活綴方教育からの離陸
第6回生活指導の教育方法論(2)――集団づくり論への転回とその展開
第7回生活教育の方法論――コア・カリキュラムを中心に
第8回科学の成果を活かす教育方法論(1)――外からの現代化と内からの現代化
第9回科学の成果を活かす教育方法論(2)――科学と生活/民主主義の結合
第10回学力をめぐる教育方法論(1)――「態度」と測定可能性
第11回学力をめぐる教育方法論(2)――〇〇力の飽和状況に抗して
第12回評価をめぐる教育方法論(1)――相対評価から到達度評価論へ
第13回評価をめぐる教育方法論(2)――到達度評価論への批判から「真正の評価」論へ
第14回道徳教育の方法論――どのような価値を、いかにして教えるべきか
(※LMSにて遠隔実施)
第15回おわりに――講義全体のまとめと発展
(注:上記計画は、受講者の学習状況や問題関心に応じて変更することがあります。)