中国文化講読Ⅱ
担当者陳  佑真教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [日本文化学科]
科目ナンバリングCHL-202

授業の概要(ねらい)

〇『論語』から考える人間と社会
 今から2500年ほど前、戦乱の時代を生きた孔子は、武力に頼らず思いやりや礼儀によって平和な世の中を作ろう、と考え、弟子たちと中国各地を旅しました。そして孔子の死後、その言葉は『論語』として整理されて東アジア中で読み継がれ、日本文化の形成にも大きな影響を与えました。たとえば、「自分がされて嫌なことは人にしてはいけない」という言い方や、十七条憲法の「和をもって貴しとなす」も、実は昔の日本人が『論語』の格言の中から選択して、自らの文化に取り入れてきたものなのです。
 『論語』に残されたのは、孔子という古代の知の巨人が苦しみながら述べた等身大の言葉の数々です。人間とは、社会とは、という生き方の哲学を含むそれらの言葉は、これから社会に羽ばたく皆さんの人生を豊かにする助けとなるはずです。
 また、『論語』には簡潔でインパクトあるパワーワードがちりばめられています。古典特有の表現に親しみながら、私たちが日ごろ無意識に使っているコトバの源に眠る世界にも触れてみましょう。
 具体的な学習方法ですが、履修者を何人かのグループに分け、『論語』の中の指定した部分についてグループ内で事前に調べてきたことを発表、他のグループと話し合うことで古典への理解を深めることを目指します。

授業の到達目標

☆1:『論語』の思想について説明できるようになる。
☆2:『論語』の言葉に基づく東アジアの伝統的な思想について理解を獲得する。

成績評価の方法および基準

授業への積極的な参加(100%)によって評価します。意見や質問を積極的に提示してくださることを重視します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 プリントを配布します。
参考文献 書物としての『論語』や解釈史についてより深く学びたい方のための参考書としては、以下のものをおすすめします。
参考文献『論語―心の鏡(書物誕生 あたらしい古典入門)』・橋本秀美岩波書店
参考文献 また、漢文の原典読解にチャレンジしてみたい方には以下のものをおすすめします。
参考文献『漢文の話』・吉川幸次郎ちくま学芸文庫
参考文献『漢文法基礎』・加地伸行講談社学術文庫

準備学修の内容

『論語』には多数の注釈書や和訳があります(ガイダンスで詳しくご紹介します)。ぜひ事前にそれらを比べてみて、それぞれの理解の違いを味わってみてください。そして、思ったことを教室で聞かせてください。一人ひとり全く異なる感想を抱くのが古典の面白さです。他の履修者、特にグループのメンバーたちと協力して発表の準備を行いましょう。

その他履修上の注意事項

春学期履修者の方のご要望をうけ、グループ学習中心になるようシラバスを改訂しました。ただし、新型コロナウィルスの感染状況により対面授業が不可能になった場合など、状況に応じて授業方法に変更が加わる可能性があります。あらかじめご了承ください。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス:前期授業のおさらい・授業概要説明(LMS配信)
第2回儒家思想の展開(朱子学・陽明学など)(対面授業)
第3回儒家思想の展開(朱子学・陽明学など)(対面授業)
第4回『論語』先進篇選読―「未だよく人につかえず、いずくんぞよく鬼につかえん」―死後の世界をどう考えるか(対面授業)
第5回顔淵篇選読―「四海の内、皆兄弟なり」―思いやりが大切(対面授業)
第6回子路篇選読―「必ずや名を正さんか」―統治のコツは急がば回れ(対面授業)
第7回憲問篇選読―「いにしえの学ぶ者は己のためにす」―学問の目的とは何か?(対面授業)
第8回衛霊公篇選読―「君子はもとより窮す」―人の内面は困った時に見えてくる(対面授業)
第9回前半のまとめ(対面授業)
第10回季氏篇選読―「益者三友、損者三友」―良い友達と悪い友達(対面授業)
第11回陽貨篇選読―「性は相い近きなり」―人間の本質をどう考える?(対面授業)
第12回微子篇選読―「吾れこの人の徒とともにするに非ざれば誰とともにせん」―隠遁者をめぐって(対面授業)
第13回子張篇選読―「君子は下流に居るをにくむ」―やっていないことの責任を押しつけられる話(対面授業)
第14回尭曰篇選読―「まことにその中を執れ」―壮大な古代神話(対面授業)
第15回全体のまとめ(対面授業)