東洋史特殊講義1A-Ⅱ
担当者陳  佑真教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHAA-202

授業の概要(ねらい)

〇文人から見る中国近世史
 この授業は、中国近世の政治史・文化史の主役である「文人」と呼ばれる人々をテーマに、宋代から清代にかけての中国史について多角的な視野を養うことを目的とします。
 文人というのは、宋代に登場した、①高い教養や美意識をもって芸術分野で活躍すると同時に、②政治にも積極的に参与し歴史を直接動かすという、二重のはたらきを演じた人々の呼び名です。
 中国近世史を動かした彼らを知ることで、文化史・芸術史の枠にとどまらず、重層的な視野から歴史上の出来事を見ることができるようになります。
 文人はいったいどのような歴史的背景から生まれたのでしょうか。また、彼らは何を考えていたのでしょうか。中国史上の代表的な文人のエピソードや当時の社会への分析を通じて、彼らの世界をのぞいてみましょう。

授業の到達目標

☆1:文人階層が発生した原因や背景を把握することができるようになる。
☆2:文人たちの生き方、価値観について説明する能力を獲得する。

成績評価の方法および基準

授業への参加姿勢(50%・コメントペーパーを配布し、疑問や考えたことを記入していただきます)・授業内試験(50%)によって評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 プリントを配布します。
参考文献 授業で扱うテーマが多岐にわたるので参考文献はその都度ご紹介しますが、全般に関するものとしては以下をおすすめします。
参考文献『中国=文化と思想』・林語堂・鋤柄治郎講談社学術文庫
参考文献『中国絵画入門』・宇佐美文理岩波新書

準備学修の内容

高等学校世界史科目の宋代から清代の中国史に関する内容について、不安のある方は教科書を復習しておいてください。
時間がある時に興味のある博物館や美術館を訪れて、文人文化の結晶である東アジアの伝統的な美術品を直接目にすることを推奨します。わかる、わからないにこだわらず、なんとなく好き、という程度でよいので気軽に親しみましょう。

その他履修上の注意事項

私語など一緒に授業を受ける仲間の集中を削ぐ行為はなさらないでください。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス:前期授業のおさらい、授業概要説明(LMS配信)
第2回科挙(1)―文人階層を作ったシステム(対面授業)
第3回科挙(2)―本当にあった科挙のこわい話(対面授業)
第4回朱子学と陽明学(1)―文人のメンタリティのよりどころ(対面授業)
第5回朱子学と陽明学(2)―社会の変化と思想の変化(対面授業)
第6回明末やりすぎ文人列伝(1)(対面授業)
第7回明末やりすぎ文人列伝(2)(対面授業)
第8回節義と遺民―文人の譲れないプライド(対面授業)
第9回文人の書画(1)(対面授業)
第10回文人の書画(2)(対面授業)
第11回物欲の鬼・蔵書家のはなし―「人に借りた本を返す奴はバカ」!?(対面授業)
第12回清朝文人の優雅な集いと価値観―阮元を中心に(対面授業)
第13回日本の文人たち(対面授業)
第14回書の世界の黒船・楊守敬と日本幕末以降の文人(対面授業)
第15回後期総まとめ・試験(対面授業)
※各回の内容には、授業の進行ペースや皆さんの関心の傾きに応じて調整を加えることがあります。