世界の情勢(アメリカ)Ⅱ
担当者茶野 純一教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングARS-108

授業の概要(ねらい)

 「異形の大統領」ドナルド・トランプの治世が終わり、アメリカは「ワシントン・インサイダー」であるジョゼフ・バイデンが率いる時代に入りました。近年の中国の台頭や多極化傾向にある世界の流れはあるも、アメリカは依然として超⼤国であり、よくも悪しくも国際社会に対する強い影響⼒を⾏使しつつ、政治、経済、⽂化の様々な領域において、重い存在であり続けています。
 本講義では、「世界の情勢(アメリカ)Ⅰ」で学んだ基礎的事項、獲得した知識をベースに、パブリック・ディプロマシーと米国保守思想を切り口として、アメリカを舞台とする世界各国の競争、米国内政と世界秩序との関係、社会の分断と民主主義の将来等の諸課題について考察します。
 講義終盤はバイデン政権の成立後約一年となることから、国内亀裂の修復、アメリカの国際協調体制への復帰、主要同盟関係の再構築等、新政権の政策課題の達成度を検証するとともに、2022年中間選挙を展望し、帰趨についての考察をクラス全体で進めていきます。

授業の到達目標

①「世界の情勢(アメリカ)Ⅰ」で修得した基礎知識、世界とアメリカとの関係を読み解く能力をさらに拡張し、国際社会に対するアメリカの影響力と将来の世界情勢について、仮説に基づき他者に説明できる能力を身につける。
②アメリカとの二国間関係を強化しようとするアジア主要各国の動きを理解し、日本にとって決定的に重要な日米関係の将来について、米国の政治状況を踏まえて他者に説明できる能力を身につける。

成績評価の方法および基準

 ① 平常点 20%(授業コメント票/リアクション・ペーパー等)
 ② 期末試験 80%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 教科書は指定しません。毎回の授業でレジュメ、参考資料等を配布します。
参考文献『パブリック・ディプロマシー戦略 イメージを競う国家間ゲームにいかに勝利するか 』金子将史、北野充PHP研究所(2014)
参考文献『影響力の代理人―アメリカ政治を動かすジャパン・マネー』パット・チョート早川書房(1991)
参考文献『ワシントンの中のアジア - グローバル政治都市における攻防 』ケント・カルダー中央公論新社(2014)
参考文献『アメリカ政治とシンクタンク: 政治運動としての政策研究機関』宮⽥智之 東京⼤学出版会(2017)
参考文献『アメリカン・センター―アメリカの国際文化戦略』渡辺靖岩波書店(2008)
参考文献『保守主義の精神』(上・下)ラッセル・カーク 中央公論新社(2018)
参考文献『ネオコンの論理』ロバート・ケーガン光文社(2003)
参考文献『トランプ現象とアメリカ保守思想』会田弘継 左右社(2016)
参考文献『アメリカ大統領選』久保文明、金成隆一 岩波書店(2020)
参考文献『米中対立-アメリカの戦略転換と分断される世界』佐橋 亮
中央公論新社(2021)
参考文献『2034 米中戦争』エリオット・アッカーマン、ジェイムズ・スタヴリディス 二見書房(2021)

準備学修の内容

 前もって次回以降の講義用リーディング・アサインメントを通知しますので、配布参考資料と併せ、読み込んでください。
 インターネット、TV、ラジオ、新聞、雑誌等を通じて、日頃からアメリカと世界の動きを知ろうとする努力を続けてください。

その他履修上の注意事項

①本講義受講者は「世界の情勢(アメリカ)Ⅰ」を履修していることが望ましい。
②今日の世界情勢を的確に把握するためには日本語のニュースや文献だけでは不十分で、英語メディアからの直接情報摂取が益々重要になってきています。本講義では日本語情報とのバランスを勘案しつつ、適宜英語による資料等を紹介していきますので、積極的に英語と向き合うマインドセットを持って授業に臨んでください。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション
第2回対米パブリックディプロマシー①(影響力の代理人) 
第3回対米パブリックディプロマシー②(ワシントンの中のアジア)
第4回対米パブリックディプロマシー③(エスニシティと外交)
第5回対米パブリックディプロマシー④(シンクタンクの役割)
第6回米国のパブリックディプロマシー①(ガリオア、国際放送、USIA) 
第7回米国のパブリックディプロマシー②(米国を ‘知らしめる’)
第8回思想と国際政治①(米国伝統保守の精神)
第9回思想と国際政治②(ネオコンが描いた世界)
第10回思想と国際政治③(トランプ現象と米国知的世界の衰退)
第11回思想と国際政治④(米中関係と民主主義の将来)
第12回バイデン政権①(初年度成果の検証)
第13回バイデン政権②(一般教書演説に向けて)
第14回2022年中間選挙の展望
第15回まとめ