宗教文化論Ⅰ
担当者濱田  陽教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングRES-101

授業の概要(ねらい)

 数万年、数千年の宗教文化を、人と人知を超えるものの関係性から生じる事物、及び、その継承として、広く受けとめたい。人知を超えるものは、人の知性、感性、意思などの能力でとらえられない存在をいう。逆に、これらの能力でとらえられる存在を、自然という言葉で表現しよう。さらに、わたしたちは、生きもの、人を自身の判断によって見出している。そして、人の精神的、物質的作為がなされた事物を、つくられたもの、と呼ぼう。こうして、自然、生きもの、人、つくられたもの、人知を超えるもの、の五つの存在から、世界をとらえる視座が開けてくる。
 この視座に加え、「共有可能性」の概念から、文化、文明を考察し、その中で、宗教文化の意味を探っていく。共有可能性は、宗教文化、文化、文明を考えるために、また、人工知能、パンデミック、人新世などの現代的問題を扱う上でも、今後、重要な鍵となってくるはずだ。

授業の到達目標

 宗教文化と文明へのやわらかな知的視座を養い、複数領域にまたがる知見をバランス良く説明、自身の考察を展開できる思考力、文章表現力を身につける。

成績評価の方法および基準

 授業参加、期末レポートにより総合評価 

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『生なるコモンズ』 濱田陽春秋社、2022年4月刊行予定
※必ず、第1回授業後、大学内の書店等で購入して下さい。授業、期末レポート作成に必須、後期の宗教文化論Ⅱでも引き続き使用します。
教科書
参考文献

準備学修の内容

・教科書に沿って進むため、次回授業で扱う予定の箇所を通読しておく。
・学修内容の理解や期末レポートの作成に役立つ予習課題を設けることがある。

その他履修上の注意事項

・コロナなどの状況を考慮し、対面授業のなかでアプリ・ツイキャスを活用して、欠席時には授業内容をオンラインでリアルタイム、事後に聴講できるようフォローアップを行うなど、多くの履修者が学修ペースをつかみやすくなるよう工夫、授業参加度も履修者の立場から、柔軟かつ公平に評価する。
・「7.授業内容」には教科書各章が割り振られているが、章によって分量の差があるため、じっさいの進行はある程度前後することがある。また章タイトルは若干、変更される場合がある。
・授業に沿って教科書本文の着目すべき箇所を自分の判断でマークし、気づいたことや考えを主体的にメモすることで(教科書に書き込んでもポストイットなどを用いてもよい)、授業の到達目標に近づくことができる。
・LMSオンライン上で重要情報はUPしていくため、対面授業前後に確認してほしい。

授業内容

授業内容
第1回教科書及び本講義について  教科書の内容と購入方法について説明
内のうちへ
第2回第一章 新テクノロジーによる人間観の分断 
 一 ヒューマニズムの人間観がゆらぐ 二 新テクノロジーの人間観と宗教文化伝統の人間観
  宗教文化伝統、ヒューマニズム、新テクノロジーの三つの人間観を比較し、学ぶ
第3回第一章 新テクノロジーによる人間観の分断 三 AI・ロボット・生命の工学
  新テクノロジーの発展による人間観の分断について考察する
第4回第二章 人の存在を問う 一 人の存在の仮説性 二 存在のゆらぎ
  人間存在のとらえ方が仮説にとどまる理由や意義について学ぶ
第5回第二章 人の存在を問う 三 存在を問う―西田幾多郎とともに
  西田幾多郎の後期思想から宗教、哲学、倫理、科学、技術についてニュートラルに思考するヒントを探る
第6回第三章 動く関係性と共有可能性 一 動く関係性と存在 二 共有領域
  動く関係性という視座について考察する
第7回第三章 動く関係性と共有可能性 三 共有可能性
  限定的で開放的な関係可能性としての共有可能性の概念について学ぶ
第8回第四章 空海の祈求 一 世界を照らすふるさとの太陽と月 二 継承と携行と
  共有可能性から空海の仏教世界について学ぶ
第9回第四章 空海の祈求 三 空の海
  (つづき)
第五章 儒の学、最善を生かす知の実践 一 儒の学と挑戦的平和
  共有可能性から儒学の可能性について学ぶ
第10回第五章 儒の学、最善を生かす知の実践 二 独創性、普遍性、独自性
  (つづき)
第11回第五章 儒の学、最善を生かす知の実践 
 三 最善を生かす知の実践―朱子「白鹿洞書院掲示」と李退渓『自省録』
  (つづき)
第12回第六章 賀川豊彦と協同組合(コオペラティブ) 一 未来を照らす 二 孤独と力
  共有可能性から賀川豊彦のキリスト教と協同組合思想について学ぶ
第13回第六章 賀川豊彦と協同組合(コオペラティブ) 三 自然、生きもののなぐさめ、愛の放射
  (つづき)
第14回講義のまとめ
 第一章から第六章を学んで得た共有可能性の世界観について理解を深める
第15回期末レポートのテーマ発表・解説 *LMSオンデマンド形式による授業、第12回直後に実施予定