マクロ社会心理学
担当者敷島 千鶴教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [心理学科 2018年度以降]
科目ナンバリングSOP-202

授業の概要(ねらい)

 自己や感情を扱う個人内過程、対人関係を扱う個人間過程に関する社会心理学研究は、社会心理学における中心的関心であり、豊富な研究成果に基づく精緻な理論が提唱されてきている。しかし、その感情や認知、行動は、一体どこから生まれてくるのだろうか。なぜ私たちは今あるような心をもっているのだろうか。なぜひとりひとりの心は同じはでないのか。そして、異なる人たちが社会で平等に生きていくとはどういうことなのか。本講義では人間の社会的行動の「なぜ」を、適応という観点からとらえ、文化と進化という、マクロな視点から考察していく。

授業の到達目標

 ① 心理学の幅広い分野にわたる、こころに関する知識や法則を理解できる。
 ② 社会的行動の個人差を説明する社会階層論を理解することができる。
 ③ 人間の社会的行動の源泉を、文化と進化という見方から、巨視的に理解することができる。

成績評価の方法および基準

 学期末試験(80%)と、課題レポート及び掲示板での発言(20%)によって評価する。
 試験では、社会的行動の個人差を説明する社会階層論をどの程度理解できたか、人間の社会的行動の源泉を、文化と進化という見方からどの程度巨視的に理解することができたかを問う。試験翌週の授業内で、試験問題の解説を行い、講評を行う。
 レポートでは、社会的不平等に関する問いを設ける予定である。LMSでフィードバックを行う。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 教科書は指定しない。資料プリントを配布し、LMSへアップロードする。
参考文献『教育格差』 松岡亮二著ちくま新書
参考文献『文化心理学〈上〉心がつくる文化、文化がつくる心』 増田貴彦・山岸俊男著培風館
参考文献『進化と人間行動』 長谷川寿一・長谷川眞理子著東京大学出版会

準備学修の内容

 指定した論文を読み、わからない箇所は自分で調べてから授業に臨むことを求める。毎回の授業後は、配布資料をもとによく復習をし、下記「授業内容」に挙げた「なぜ」に対する説明を考え、自分の言葉でまとめておくこと。わからない箇所はLMS掲示板を使って質問して欲しい。

その他履修上の注意事項

 社会心理領域の必修科目である。
 LMSの本科目サイト内に、授業に関する情報を掲載する。履修者は毎週アクセスすること。

授業内容

授業内容
第1回 ガイダンス
第2回 社会階層論(1)社会経済的地位と行動について学ぶ
 ―なぜ学歴や仕事は家族内で継承されるのか
第3回 社会階層論(2)家庭の経済格差と子どもの学力について学ぶ
 ―なぜ裕福な家の子どもの学力は高いのか
第4回 社会階層論(3)社会的不平等と遺伝について学ぶ
 ―なぜ世の中は平等でないのか
第5回 文化心理学(1)文化と自己について学ぶ
 ―なぜ日本人は自己主張しないのか
第6回 文化心理学(2)文化と子育てについて学ぶ
 ―なぜ日本の親は子どもを甘やかすのか
第7回 文化心理学(3)文化とパーソナリティ・感情について学ぶ
 ―なぜアメリカ人はヒッチハイクが平気なのか
第8回 <オンライン>
 文化心理学(4)文化と世界観・思考について学ぶ
 ―なぜ西洋人は木を見るが、東洋人は森を見るのか
第9回 人間行動の進化(1)自然淘汰について学ぶ
 ―なぜキリンの首は長いのか
第10回 人間行動の進化(2)血縁淘汰について学ぶ
 ―なぜ親戚の子どもはかわいいのか
第11回 人間行動の進化(3)身体的魅力・恋愛について学ぶ
 ―なぜグラマーな女性に惹かれるのか
第12回 人間行動の進化(4)利他行動・社会性について学ぶ
 ―なぜ他人に親切になれるのか
第13回 学期末試験 まとめ
第14回 試験問題の解説 総括
第15回 関連する文献の講読