西洋政治思想史Ⅰ
担当者石川 敬史教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHIT-205

授業の概要(ねらい)

 政治思想史という学問は、歴史学とリンクしながらも歴史学とは趣の異なる学問です。歴史学とはエビデンス(証拠)とファクト(事実)からありのままの真実を追求する学問ですが、政治思想史という学問は、「人間が世界をどのように観てきたか」、そして「価値判断」の基準をどのように構築してきたかを考察する学問です。規範を持っている、あるべき価値判断ができるというのが、人間と動物を分ける違いだとするなら、政治思想史とは人間学でもあります。それを歴史的に外観するのが政治思想史です。そして、今日我々が生きている世界の「あるべき姿」の支配的思考様式となったのが西洋政治思想です。この授業を通して、西洋的価値観とは何かを把握するのが授業の狙いとなります。それはとても楽しい営みですので、ぜひ楽しむつもりで参加してください。
前期は、古典古代と呼ばれる、古代ギリシア・ローマから中世を中心に検討します。それはめくるめく世界です。

授業の到達目標

現在の世界で目にする状況を、思想史の文脈から理性的に考えることができるようになる。
西洋中心主義を相対化し、多様な世界を理解することができるようになる。
今日、教養と言われるているものの基本的概念を獲得することができる。

成績評価の方法および基準

前期に2回提出する小レポート:20%
対面授業最終日に行われる授業内試験:80%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書特に指定しない。授業毎に資料を配布する。
参考文献政治思想史入門堤林剣慶應義塾大学出版会

準備学修の内容

復習中心で学修を行なってください。配布した資料をよく読み返し、ノート作りを行なってください。

その他履修上の注意事項

教員への質問は遠慮なく行なってください。よく分からない箇所を消し込んでいってください。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス
授業の運営方針、授業の概要、単位取得要件の説明
第2回古代ギリシアの思想状況(1)
1 神話世界から民主政へ
第3回古代ギリシアの思想状況(2)
1 アテナイを中心とした都市国家
2 歴史家トゥキディウスの観た価値の戦いとしての戦争
3 ソフィストたち
第4回プラトン(1)
1 ソクラテスとプラトン
2 プラトンの政治理論
第5回プラトン(2)
1 プラトンの哲学
2 プラトンの思想の後世への影響
第6回アリストテレス(1)
1 万学の祖アリストテレス
2 プラトンとアリストテレスの共通性と決定的な違い
3 アリストテレスの政治理論
第7回アリストテレス(2)
1 アリストテレスの自然観
2 アリストテレスの政治思想
3 アリストテレスの思想の後世への影響
第8回古代ローマの政治思想(1)
1 ギリシアの遺産:ポリビュオスの「混合政体論」
2 「西洋」文明の柱としてのヘレニズム文明
第9回古代ローマの政治思想(2)
2 帝政ローマの思想状況:エピクロスとストア派哲学
3 キケロの政治思想
第10回中世の政治思想(1)
1 ローマは滅びたがキリスト教会は残った:ゲルマン民族のキリスト教徒化
2 キリスト教と中世
3 「西洋」のもう一本の柱としてのヘブライズム
第11回中世の政治思想(2)
1 教父哲学:アウグスティヌスの神学と政治思想
2 スコラ哲学と普遍論争
3 トマス・アクィナスの「肯定」の哲学
第12回ルネサンスと宗教改革(1)
1 ルネサンスとは何か
2 マキャヴェッリの政治思想
第13回ルネサンスと宗教改革(2)
1 宗教改革とは何か
2 プロテスタントによる大転換
第14回まとめと授業内試験
第15回LMSによる総括講義