担当者 | 森 一平教員紹介 | |
---|---|---|
単位・開講先 | 選択必修 2単位 [教育文化学科] | |
科目ナンバリング | EDU-207 |
子どもたちによりよい学びを提供し、そのことを通して社会をよりよい方向に導いていくために、教師は専門家としての力量を絶えず発展させてゆかねばならない。教師の専門家としての力量とは、何よりもまず授業力のことであるだろう。そして、授業力を向上させるための最も確かで効果的な方法は、過去の自分の(あるいは他の教師の)授業を研究し、改善の糸口を探っていくことだ。
しかしその「授業研究」も、適切なやりかたでなされなければ効果の薄いものになってしまうし、授業の改善につながりにくいものとなってしまう。そこで本講義ではまず、①著名な授業研究の方法およびその意義と限界について学修し、「授業を見て何事かコメントする」というだけの授業研究観を上書きする。そのうえで次に、②エスノメソドロジー・会話分析の立場からなされた研究事例を、グループワークなどを通してみずからの手で再分析してみることにより、適切な視点と方法に依拠しながら実際に授業研究を遂行していくための基礎的な力の獲得をめざす。
①授業研究をめぐる複数の立場について、その概要・意義・限界をそれぞれ説明できる。
②①を踏まえたうえで、エスノメソドロジー・会話分析という立場による授業研究の特殊性と意義を説明できる。
③エスノメソドロジー・会話分析の視点から、実際の授業事例を読み解くことができる。
・中間課題(主にグループワークの成果物):50%
・最終レポート:50%
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
---|---|---|---|
教科書 | 特に指定しない。毎回の講義でレジュメや資料を配布する。 | ||
参考文献 | 『授業研究入門』 | ・稲垣忠彦・佐藤学(1996) | 岩波書店 |
参考文献 | 『ストップモーション方式による授業研究の方法』 | ・藤岡信勝(1991) | 学事出版 |
参考文献 | 『会話分析入門』 | ・串田秀也・平本毅・林誠(2017) | 勁草書房 |
・前回の講義内容の概略を、配布資料を手がかりに口頭で説明できるようにしておくこと。
・毎回の講義で出す課題を、翌週までに必ず完成させておくこと。
この授業はグループワークを含む授業であるため、学生たちの積極的な参加が学修の重要な条件となる。受講者には、グループワーク時に他人任せにせず、みずから積極的に意見を表明する態度を求める。
回 | 授業内容 |
---|---|
第1回 | オリエンテーション――授業研究の全体像を概観する |
第2回 | 斎藤喜博と島小の授業研究 |
第3回 | 出口論争(1)――「ゆさぶり」と「正しさ」 |
第4回 | 出口論争(2)――「名人芸」と「法則化」 |
第5回 | ビデオを用いた授業研究(1)――授業カンファレンス |
第6回 | ビデオを用いた授業研究(2)――ストップモーション方式 |
第7回 | 相互行為としての授業(1)――エスノメソドロジー・会話分析の視点 |
第8回 | 相互行為としての授業(2)――発言の順番交替組織について |
第9回 | グループワーク(1)――発言の順番交替の視点から授業を読み解く |
第10回 | 相互行為としての授業(3)――行為連鎖の組織について |
第11回 | グループワーク(2)――行為連鎖の視点から授業を読み解く |
第12回 | 相互行為としての授業(4)――トラブルの修復・誤りの訂正の組織について |
第13回 | グループワーク(3)――修復・訂正の視点から授業を読み解く |
第14回 | エスノメソドロジー・会話分析の応用――「討議」と「承認」の授業技術 |
第15回 | おわりに――講義全体のまとめと発展 (※LMSにて遠隔実施) (注:上記計画は、受講者の学習状況や問題関心に応じて変更することがあります。) |