欧米文化Ⅱ-Ⅰ
担当者木谷  厳教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングEUL-103

授業の概要(ねらい)

 「感受性」および「美的=感性的(エスセティク)なもの」という言葉をキーワードとして、西洋の文学・文化に触れることを目的とします。春期の講義ではロマン派詩人P・B・シェリーの詩論『詩の擁護』(1821)を通じて、彼が親しんだ古典古代から19世紀前半までの代表的な西洋文学を俯瞰することを試みます。「詩的なもの」とは何かというシェリーの問いかけを追体験することによって、西洋文学のなかにある美的=感性的なもの(美感的なもの)をめぐる思想を探求します。

授業の到達目標

 ・20世紀以降の学問的見地からだけではなく、19世紀前半のヨーロッパを生きた詩人シェリーのまなざしを通じてヨーロッパ文学・文化の歴史をみてゆくことで、その歴史的な流れを重層的あるいは多角的にとらえ、ある程度説明することができる。
 ・「感性」をめぐるさまざまな文学的な描写や表現に触れることで、感じた事柄をみずからの言語によって表現することができる。

成績評価の方法および基準

・毎回課される提出課題の成果 30%:各回のテーマとなる西洋文学・文化の内容について、文化的観点とあわせて理解し説明できるかを評価します。
・学期末の最終試験の成果 45%:学期をつうじて学んできた西洋文学・文化の内容について、文化的観点とあわせて理解し説明できるかを評価します。
・平常点 25%:授業への参加・貢献度、受講態度(積極的かつ協調的に学ぶ態度等)の状況を基準とします。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書教科書は用いず、教員が自作の資料を毎回配布します。
参考文献『シェリー詩集』(2007年改版)上田和夫訳新潮文庫
参考文献『対訳シェリー詩集』(2013年)アルヴィ宮本なほ子訳岩波文庫

準備学修の内容

以下のような準備学習課題を出します。この予習をもとに授業を進めますので、予習を怠ると授業の理解を深めらなくなります。
  ・授業内で扱われる内容についてのリアクション・ペーパーを記入する課題(12回程度)
  ・配布資料や参考文献および関連資料の読み込み

その他履修上の注意事項

 ・欠席および公欠の扱いについては、大学の規程にしたがいます。
 ・遅刻(授業開始時刻に着席していない)が複数回ある場合は、欠席としてカウントします。
 ・私語は厳に慎んでください。
 ・受講に際してとくに配慮が必要な場合(病気や怪我その他)は遠慮なく申し出てください。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション
第2回シェリーのまなざしを通じたヘレニズムとヘブライズム
第3回シェリーとプラトン――美と愛(エロス)の概念について
第4回シェリーとローマの詩人(1)――ウェルギリウスを中心に
第5回シェリーとローマの詩人(2)――オウィディウスを中心に
第6回「永遠の女性」をめぐって――ダンテとシェリー
第7回ネオ・プラトニズムの神学とシェリーの美学
第8回シェイクスピアを読むシェリー
第9回絶対者への挑戦――ミルトンの『失楽園』とシェリーの『鎖を解かれたプロメテウス』
第10回感受性の人――シェリーの導き手としてのルソー
第11回感受性の時代と前=ロマン主義
第12回ロマン主義の時代(1)――イギリスにおけるロマン派第一世代の詩人を中心に
第13回ロマン主義の時代(2)――イギリスにおけるロマン派第二世代の詩人を中心に
第14回全体のまとめと最終試験
第15回LMSによる講義――自己省察にもとづくレポート作成
 ※状況に応じて授業内容の順番、あるいは内容そのものが変更される可能性もあります。