外国政治史Ⅰ
担当者工藤 則光教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングPOL-105

授業の概要(ねらい)

 本年度の外国政治史Ⅰ・Ⅱでは前近代史に関するいくつかの論点を講義する。この外国政治史Ⅰでは、ローマ建国から始まり、ローマ共和政・前期帝政について映像資料を用いながら概観し、次に帝政後期から始まる「古代末期」、特にメロヴィング朝フランク王国について少し詳しく講義する。その内容は日本の高校世界史で取り上げられていない事項が多く、また高校世界史と大きく異なる場合も少なくないので、少し時間を取って、説明したい。
 なお、ここでいう政治史には高等学校の教科書にあるような19世紀的な実証主義史学の成果である事件史だけではなく、20世紀を代表し、現在も大きな影響力を有するフランスのアナール派の手法を取り入れた「政治文化史」のことも含まれる。政治文化史とは何かについては、簡単にははじめに説明するが、その具体的な内容・手法については、この講義全体で明らかにしていく。

◎第14回はLMSで実施する予定である。

授業の到達目標

①古代ローマの政治史と古代末期の政治史について基本的知識を獲得すること。
②世の中の動きを歴史的に考えるための視点を身につけること。

成績評価の方法および基準

 受講者数にもよるが、小リポート・小テストなど40%、期末テストもしくはリポート60%で評価する。
①小リポートは基本的に授業中のリアクション・ペーパー(原則毎回実施)のことである。
②履修者数などによって、期末テストは定期試験期間に行うこともある。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書使用しない。
参考文献適宜、紹介する。

準備学修の内容

 この分野の著作は多数あり、適宜参考文献を紹介する。そのような参考文献や授業内容の理解を深めることができる文献以外の教材も紹介するので、事前に読んだり見たりするとよい。また、少し詳細なプリントを配布するので事前に読んでおくことが求められる。さらに、現在の日本や世界で起きていることに関心を持つこと。最低限一日1回はニュースをチェックして動向なりを押さえておくこと。この授業とは直接関係しないかもしれないが、色々な意味で過去と現在はつながっているので、意外な接点に驚くこともあるだろう。

その他履修上の注意事項

 高等学校で必修となっている世界史の教科書に記載されていない内容も多いので、世界史の理解程度は問わないが、その確認のようなことは講義するつもりである。ただし、高等学校の教科書の記述とは根本的に異なるので、その方面での教職を目指している学生で現在教職科目に苦戦している学生には履修を勧めない。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション:①授業の進め方・評価方法などについて、②授業のアウトライン、③政治史と何か
第2回序論:前期帝政崩壊までの史的概観と研究史
A.ローマ建国から共和政崩壊まで
第3回序論:前期帝政崩壊までの史的概観と研究史
B.前期帝政崩壊まで
C.エドワード・ギボン『ローマ帝国衰亡史』と「古代末期」論争
第4回Ⅰ. 後期帝政の史的概観
1.ディオクレティアヌス帝とコンスタンティヌス帝
第5回Ⅰ. 後期帝政の史的概観
2.コンスタンティヌス帝没後から西ローマ帝国滅亡まで
第6回Ⅱ. 古代末期のゲルマン人継承国家
1.ガロ・ローマ期:ローマ支配下のガリア
2.ゲルマン人の大移動とゲルマン人継承国家成立史概観:A.フン人、B.ヴァンダル人  
第7回Ⅱ. 古代末期のゲルマン人継承国家
2.ゲルマン人の大移動とゲルマン人継承国家成立史概観
C.東・西ゴート人、D.研究動向の概観
第8回Ⅲ.メロヴィング朝フランク王国
1.前史:ゲルマン人継承国家成立以前のフランク人
2.メロヴィング朝フランク王国の成立と確立
A.メロヴィング朝の誕生:クロヴィスの時代
第9回Ⅲ.メロヴィング朝フランク王国
2.メロヴィング朝フランク王国の成立と確立
B.クロヴィス死後のメロヴィング朝:第2世代
第10回 Ⅲ.メロヴィング朝フランク王国
2.メロヴィング朝フランク王国の成立と確立
C.第3世代以降のメロヴィング朝フランク王国
第11回 Ⅲ.メロヴィング朝フランク王国
3.メロヴィング朝フランク王国の衰退と滅亡
A.ぺパン家(カロリング家)の台頭
第12回 Ⅲ.メロヴィング朝フランク王国
3.メロヴィング朝フランク王国の衰退と滅亡
B.メロヴィング朝フランク王国の滅亡
第13回【補論①】「古代末期」概念からみたゲルマン人継承国家
第14回【補論②】課題図書・動画についての説明
◎LMSによる講義
第15回まとめとテスト
◎以上の予定に小テストや小リポートが加わるはずである。