授業の概要（ねらい）

　日本の文化財行政全般についての講義である。我が国には有形文化財＝建造物・美術工芸品（絵画、彫刻、工芸品、書籍、考古資料など）、無形文化財、民俗文化財、史跡名勝天然記念物、文化的景観、伝統的建造物群、保存技術、埋蔵文化財からなる分類体系があり、それらを対象に保存活用が行われている。文化財保護法の改正により、文化財の活用へと大きく流れが変わりつつある今日、公務員としての文化財行政職志望者はもちろん、研究者、教員、学芸員、民間を含めた文化財関係職を目指す学生にとって、文化財の見方、文化財の認定、保護の制度、仕組みと保存管理、活用の実際を知っておく必要がある。この授業の前半では、日本の指定文化財の概要、保護行政のあり方を学び、後半ではとくに埋蔵文化財の保護行政を取り上げ、発掘調査における一連の流れ（計画・業務契約、予算措置、準備、実施、整理、報告書作成、遺物の展示・活用）に関する法的手続きや安全基準などを学ぶ。

授業の到達目標

　各種文化財の概要、見方を理解し、文化財保護制度、保護行政の仕組みを知り、化財の管理、保存、活用のための基本的知識を学ぶ。とくに埋蔵文化財調査に関する行政的な手続き、予算措置から整理、報告書刊行、資料の活用について十分に理解する。

成績評価の方法および基準

　期末試験（80％）のほか、出席態度、レポートを成績評価の対象とする。

教科書・参考文献

準備学修の内容

　生活する身近な地域、大学周辺にどのような文化財があり、それらがどのような保護管理体制のもと、保護行政が実際にどのように行われているのか、そこにはどのような課題があるかを考える。また旅行先などで積極的に史跡や建造物などの文化財を訪ね、見学することを勧める。

その他履修上の注意事項

　履修する学生には、文化財関連の行政職、埋蔵文化財調査を目指していただきたいが、そのためにも文化財行政の実際を知ることが必要である。まずは文化財に興味を持ち、文化財保護の現状と課題を学んでもらいたい。就職にあたっては即戦力としての技術や知識が身に付いているかどうかが問われる。研究者としての学びを深めることが肝要である。

授業内容