発達評価法Ⅱ
担当者近藤 清美教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [心理学科 2018年度以降]
科目ナンバリングDEP-204

授業の概要(ねらい)

 人の発達を評価するとはどういうことなのか?それは心理検査をすることなのだろうか?いや,そうではないだろう。発達を視るということは,対象者について,環境と相互作用しながら,過去を背負い未来を展望する個人のありようを理解することである。
 本講義では,日常にしばしばみられる幼児から高齢者までの各発達段階における発達上の問題や悩みについて,どの様にアセスメントを行い,問題解決の糸口をつかめるのか,事例を用いて実際的に考えることで,発達的観点にたつ心理的アセスメントに必要な知識やそれらの問題へのアプローチの仕方を身に着ける。
 本講義では,5つの事例を取り上げ,問題の解決に必要なアセスメントやアセスメントに基づく解決の方策を導き出す。その際,様々ある心理検査を実際に体験して,それがどのようなものであるのかを学んだり,問題を解決するためにはどのような情報収集を行い,行動観察を行うのか,ロールプレイをしたり,グループで話し合ったりする中で考え発表しあう。このことによって実際の生活の中で役立つ知識に結び付けていく。
 

授業の到達目標

 ①発達的観点に立つ包括的アセスメントを理解し,人の発達について多様な見方ができるようになる。
 ②発達上に生じる心の問題や悩みに対するアセスメントの様々な方法について理解する。
 ③各発達段階で生じる問題・悩みについて,データに基づきアセスメントを行い,見立てを立てることができる。
 ④対象者の状態についての様々なデータを読み取り,自分なりに考え,考えを発表したり討議することができる。

成績評価の方法および基準

 授業の中での5事例についてのレポート課題(70%),内容はその都度提示する。授業中での討論への参加と発表(30%)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献子ども理解と支援のための発達アセスメント 本郷一夫有斐閣選書
参考文献これからの発達障害のアセスメント:支援の一歩となるために 黒田美保・柘植雅儀金子書房

準備学修の内容

 事前に事例についての資料を渡されることがあります。必ず読んで学修しておいてください。事例を読み込み自分で報告書を作成し,次の週に持ってきて討論する場合があります。準備をしてから授業に望むようにしてください。

その他履修上の注意事項

・レポートを提出することで単位が出ます。
・授業での討論には積極的に参加してください。
・授業中の私語や迷惑行為に対してはペナルティを科すので注意してください。

授業内容

授業内容
第1回発達の問題に対する包括的アセスメントとは
第2回勉強ができないA君のアセスメント
第3回知的能力:CHC理論とK-ABC-Ⅱ,様々な知能検査
第4回発達障害:PARS-TR,LDI-Rなど
第5回幼稚園の登園渋りをするB子さんのアセスメント
第6回問題行動,緘黙,習癖:SDQ,CBCL,行動観察と環境との相互作用
第7回親子関係のアセスメント:ストレンジ・シチュエーション,クロウェル法,アタッチメントのアセスメント
第8回親子関係のアセスメント:親の養育行動,関係性アセスメントの要点
第9回孤立無援の大学生C君のアセスメント
第10回ドールロケーションテスト,家族イメージ法,コンボイモデル,対人関係のアセスメント
第11回子育てが楽しくないD子さんのアセスメント
第12回育児不安と育児ストレス,ソーシャルサポート,家族関係,夫婦関係
第13回キレる中高年E男さんのアセスメント
第14回認知症,認知機能検査
第15回アセスメントを問題解決につなげる(オンライン)