担当者 | 影山 亮 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [日本文化学科] | |
科目ナンバリング | SOC-201 |
この授業では大正末期頃から成立した、日本の大衆文学についての講義を行う。
これまで日本近代文学研究は、一般的な文学史に出てくる作家たちの著名作品を中心に展開してきた。このことへの疑問は共有されつつあり、これまで陽の当たることの少なかった大衆文学にようやく注目が集まってきた。本授業では既存の文学史では語られることが少なかったが、雑誌や映画、貸本など同時代の大衆文化と密接に結びついていた大衆文学を、作品を引用しつつ通史的に学ぶ。
具体的には以下の授業計画を予定しているが、変更もあり得る。
大衆文学という領域は、単に文学の世界だけでなく、出版メディアや映画など他の文化とも密接に結びついていた。つまり大衆文学を通史的に学ぶことは、文学的知見を広げるに留まらず、日本における出版メディアや、映画といった文化的コンテンツを把握することを意味している。また対内・対外を問わず、日本文化を発信できるスキルを修養する。さらに、既存の文学史という狭い視野に捉われることなく、より広い視野で物事を考察する能力を養う。
期末レポート(60%)と授業内リアクションペーパー(40%)。ただし出席率等も加味して総合的に評価する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | なし。教員側でレジュメ、適宜パワーポイント等を用意する。 | ||
参考文献 | 『大衆文学の歴史』(1989.3) | 尾崎秀樹 | 講談社 |
参考文献 | 『大正史講義【文化篇】』(2021.8) | 筒井清忠 | 筑摩書房 |
対象となる時代の歴史的事項や、発表された作品について年表などをもとに知識を得ておくこと。事前に読んでおくことを指示された資料等には、目を通しておくこと。
電子媒体による調査だけでなく、可能な限り雑誌・新聞の実資料に触れてみることが望ましい。
回 | 授業内容 |
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第1回 | ガイダンス |
第2回 | 三遊亭円朝・新講談・立川文庫 |
第3回 | 中里介山と白井喬二 |
第4回 | 家庭小説と通俗小説 |
第5回 | 明治・大正期の探偵小説 |
第6回 | 『新青年』と江戸川乱歩 |
第7回 | 「二十一日会」の発足と『現代大衆文学全集』 |
第8回 | 〝通俗〟への忌避と〝歴史〟への接近 |
第9回 | 時代小説の〝新古交代〟 |
第10回 | 侍と探偵の合流・「捕物作家クラブ」 |
第11回 | 週刊誌と剣豪小説 |
第12回 | 「探偵作家クラブ」結成と時代小説の権威化 |
第13回 | 『読書世論調査』と貸本 |
第14回 | 文壇の崩壊 |
第15回 | まとめ・現代における大衆文学関連の企画展(オンライン授業・LMSによるオンデマンド形式) |