担当者 | 森 一平教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [初等教育学科 こども教育コース] | |
科目ナンバリング | EDU-307 |
カリキュラムとは、主には教え・学ばれるべきとされる内容とその計画を示すものである。日本においては文部科学大臣の告示する「学習指導要領」などがその典型だ。これは国家レベルのカリキュラムだが、もちろん他にも様々なレベル・種別のものが存在する。
留意せねばならないのは、現在採用されているカリキュラムが必ずしも全面的に正しいわけではないということである。その「正しさ」は、社会のあり方や時代状況によって変わりうるものだからだ。それゆえ私たちは教育の専門家として、子どもたちや社会の未来のために、みずから自身で(より)望ましいカリキュラムを設計できる力を持たねばならない。あるいはいざカリキュラムの変革に立ち会ったときには、自分なりの意見を表明し、その変革をよりよい方向へと導いていく責任がある。
本講義ではまず、国内外のカリキュラム(論)に関する概説的な講義を実施したうえで、いくつかの重要文献を輪読しながら参加者間でディスカッションする活動を中心に据える。そうすることで、現代社会の現状と照らし合わせながら、今後あるべきカリキュラムをアクティブかつ対話的に構想していくことをねらいとしている。
①現行学習指導要領のポイントと成立背景を説明できる。
②日本におけるカリキュラムの歴史的展開を説明できる。
③現代日本のカリキュラムの問題点を説明できる。
④以上を踏まえて、あるべきカリキュラムの姿について自分なりの意見を主張できる。
・平常点(ディスカッションへの貢献度):30%
・中間課題(文献報告):30%
・最終課題:40%
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 『小学校教師の専門性育成』 | ・帝京大学教育学部初等教育学科初等教育コース編(2020) | 現代図書 |
教科書 | |||
参考文献 | 『「資質・能力」と学びのメカニズム』 | ・奈須正裕(2017) | 東洋館出版社 |
参考文献 | 『戦後日本教育方法論史(下)――各教科・領域等における理論と実践』 | ・田中耕治編著(2017) | ミネルヴァ書房 |
参考文献 | 『暴走する能力主義――教育と現代社会の病理』 | ・中村高康著(2018) | 筑摩書房 |
参考文献 | 『教育は何を評価してきたのか』 | ・本田由紀著(2020) | 岩波書店 |
文献レジュメ(要約と論点を示したもの)の作成を最低一度は行ってもらうことになります。
履修者による積極的な議論が重要となる科目です。無知や誤解を恐れず、積極的に意見する姿勢で臨んでください。
回 | 授業内容 |
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第1回 | オリエンテーション――カリキュラムとは何か |
第2回 | カリキュラムの「いま」を読み解く――最新版学習指導要領の背景とポイント |
第3回 | カリキュラムの「歴史」をたどる――学習指導要領の改訂とその社会的・思想的文脈 |
第4回 | カリキュラムの「思想」から学ぶ――デューイとブルーナーを中心に |
第5回 | 現代日本カリキュラムの能力観を問い直す(1)――「新しい能力」とは何か |
第6回 | 現代日本カリキュラムの能力観を問い直す(2)――「新しい能力」の測定不能性 |
第7回 | 現代日本カリキュラムの能力観を問い直す(3)――能力と社会の関係性 |
第8回 | 現代日本カリキュラムの能力観を問い直す(4)――終わりなき「よりよい能力」の探究 |
第9回 | 現代日本カリキュラムの能力観を問い直す(5)――「新しい能力」再考 |
第10回 | 現代日本の評価のありかたを問い直す(1)――垂直的序列化と水平的画一化(本田2020) |
第11回 | 現代日本の評価のありかたを問い直す(2)――戦前の評価観とその問題性 |
第12回 | 現代日本の評価のありかたを問い直す(3)――戦後の評価観とその問題性 |
第13回 | 現代日本の評価のありかたを問い直す(4)――メリトクラシーの脱・認知能力化 |
第14回 | 現代日本の評価のありかたを問い直す(5)――よりよい社会をつくる教育評価とは |
第15回 | おわりに――講義全体のまとめと発展 (LMSにて遠隔実施) (注:上記計画は、受講者の学習状況や問題関心に応じて変更することがあります。) |