家族の支援と心理
担当者芦澤 清音教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [初等教育学科 こども教育コース]
科目ナンバリングEDP-204

授業の概要(ねらい)

子どもが育つうえで最も基本的かつ重要な環境が家族・家庭である。しかしながら複雑な現代社会において、子どもを養育する機能が十分な家族ばかりではない。そのため保育園や学校などで子どもの養育・教育に従事する保育士や教師は子どもに直接関わるだけでなく、家族のサポートを同時に行うことが求められる。しかし現代の家族の形はひとつではなく、さまざまな価値観や生き方が存在し、家族が抱える困難さも多様である。教育・保育に携わる者は、自己の経験および慣習的な家族観を克服して「多様な家族」のあり方を前提にしなければならない。本授業は子どもが育つ場としての家族の機能と、現代社会における家族の問題について日本のみならず国際的な視点から理解し、保育士や教師が母親や父親など家族メンバーに対してどのような支援や働きかけを行ったらよいかを理論的、実践的に学ぶ。とくに心理的支援に焦点を当て、支援の方法をディスカッション等を通じて具体的に検討していくことを目的とする。

授業の到達目標

家族とその援助に関連する社会背景や実情を知り、基本的な考え方を理解する。そのうえで、ケースに応じた支援について、各自およびグループディスカッション等を通じて、具体的な方法を考えることができるようにする。

成績評価の方法および基準

コメントペーパーや授業への日常的な参加態度・取り組み(40%)および、期末試験または期末レポート(60%)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『みんなで考える 家族・家庭支援論』草野いづみ編著同文書院
参考文献その他、参考文献を紹介。また、授業時に関連資料を配布する。

準備学修の内容

テキストのコラム等を読み、課題に取り組む。常に家族支援に関連する書籍、記事、テレビ番組、ニュース等に敏感になり、読んだり見たりすることをこころがける。

その他履修上の注意事項

多角的な視点をもち、柔軟に発想し思考する姿勢を持つこと。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション:授業の内容や参考文献等の説明。
第2回家族とは何か。社会の変遷と家族観・家族機能の変容。家族の法的位置づけと実際。家族の多様性ー日本や世界のさまざまな家族のあり方とは。
第3回家族を取り巻く社会と家族の抱える問題との関係。「ジェンダーと家族」の視点から、「家庭(個人生活)」と「仕事」の両立(ワークライフバランス)を考える。例:男女雇用機会均等法、育児休業法、父親の育児休暇、セクシュアルハラスメント・・・。
第4回困難な状況を抱える家族とその支援:育児ストレス・育児不安とは何か。その心理社会的要因を探る。
第5回困難な状況を抱える家族とその支援:ひとり親、複合家族など。子どもの貧困=女性の貧困とその背景。
第6回困難な状況を抱える家族とその支援:さまざまな文化・ルーツを背景にもつ家族と子ども。多文化共生社会と家族支援。
第7回困難な状況を抱える家族とその支援:障害をもつ子とその家族(親、きょうだい児など)の支援について。
第8回子育てにおける家族の諸問題:DV、子ども虐待における心理的支援。
第9回子育てにおける家族の諸問題:家族と子どもの心の健康。機能不全家族とは。
第10回家族援助の方法①−日常的援助、個別相談、グループワーク、専門機関との連携など。 
第11回家族援助の方法②−家族システム理論と家族への心理的援助について
第12回家族援助の方法③−家族への心理的援助について。家族療法を参考に。
第13回地域の子育て支援ネットワークと専門職の役割および多職種連携について。日本や海外の事例から学ぶ。
第14回園や学校での家族援助の実際:ケースから考える。
第15回オンライン授業。授業のまとめ。