児童サービス論
担当者床井 文子
単位・開講先選択  2単位 [資格科目]
科目ナンバリングLIH-206

授業の概要(ねらい)

 児童サービスの目的は、乳幼児から児童・生徒(ヤングアダルト)までを対象とした子どもに読書のたのしみを伝えることにあります。この授業では、発達段階に応じた読書とその意義、児童図書館員の使命と役割について学びます。また、様々な種類の資料の特色と選択についての知識を深め、演習を通じて子どもと本を結びつける技術の習得を目指します。
 学習効果を高めるため、講師が読み聞かせ・ストーリーテリング・ブックトークのデモンストレーションを行います。加えて、学生に児童資料を読み、比較検討する作業を求め、課題発表やグループ形式でのディスカッションを取り入れて進めます。

授業の到達目標

①子どもの発達段階における読書とその意義について他者に説明できます。(知識・理解)
②図書館における児童サービスの歴史、意義と役割について説明できます。(知識・理解)
③様々な種類の資料の特色を理解し、選書の基礎知識を修得します。(知識・理解)
④読み聞かせ、ストーリーテリング、ブックトーク、紹介文を書くことの意義を理解し、演習を通して子どもと本を結ぶ技術を習得します。(知識・理解・技能)
⑤発表、演習、グループ・ディスカッションに積極的に取り組むことを通じて、児童図書館員として必要なコミュニケーションスキルを身につけます。(関心・意欲・態度・技能)

成績評価の方法および基準

(1)最終課題(到達目標①、②、③)                        30%
(2)課題レポート(到達目標①、②、③、④)                    30%
(3)事前に指定する児童資料についての課題発表および演習(到達目標①、③、④、⑤) 30%
(4)グループ・ディスカッションを含む授業参加度(到達目標⑤)           10%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『子どもと本』(岩波新書)松岡享子岩波書店 2015 (¥860)
参考文献『児童サ-ビス論 新訂版 』 堀川照代日本図書館協会 2020 (¥1,900)
参考文献『子どもと本の世界に生きて―児童図書館員のあゆんだ道』 アイリ-ン・コルウェルこぐま社 1994 (¥1,700)
参考文献『児童図書館の先駆者たち―アメリカ・日本 』東京子ども図書館東京子ども図書館 2021 (¥800)
参考文献『えほんのせかいこどものせかい』(文春文庫) 松岡享子文藝春秋 2017 (¥680)
参考文献『よみきかせのきほん―保育園・幼稚園・学校での実践ガイド』東京子ども図書館東京子ども図書館 2018 (¥750)
参考文献『ブックトークのきほん―21の事例つき』東京子ども図書館東京子ども図書館 2016 (¥600)
参考文献『昔話は残酷か―グリム昔話をめぐって 』東京子ども図書館東京子ども図書館 1997 (¥750)
参考文献『幼い子の文学』瀬田貞二中央公論 1980 (¥800)
参考文献『絵本の庭へ』東京子ども図書館東京子ども図書館 2012 (¥3600)
参考文献『物語の森へ』東京子ども図書館東京子ども図書館 2017(¥3600)
参考文献『知識の海へ』東京子ども図書館東京子ども図書館 2022(¥3600)

準備学修の内容

以下のような準備学習課題を課します。
・身近な公共図書館の児童書コーナーを見学する
・児童資料を積極的に読み、読書記録をつける
・課題レポートの作成(選択制の課題、授業内の小レポートを含めて、5回程度)
・課題発表の担当者は、担当する児童資料を比較検討し、事前にレポ-トを提出する
・演習は、選択した内容の手引きにそって準備する

その他履修上の注意事項

①初回は、授業の進め方、演習、課題、成績評価方法等について説明するので必ず出席してください。
②欠席および公欠の扱いについては、大学の規程にしたがいます。
③演習および児童資料についての課題発表は選択制とし、初回のアンケートをもとに決定します。

授業内容

授業内容
第1回<オリエンテーション>
1)授業の目的と進め方、課題の提出方法、資料研究・演習の方法、テキストの紹介、成績評価について
2)児童サービスの意義
3)演習および資料研究についてのアンケート実施
4)小レポート(子どもの頃の読書の思い出・心に残った本や図書館体験)
第2回<講義>
1)子どもの発達段階と読書
2)児童資料の特色と選択①(児童資料の類型、絵本 )
3)児童サービスの実際①(読み聞かせ・ストーリーテリング・ブックトーク)
第3回<講義と演習>
1)児童サービスの実際②(フロアワーク、カウンターワーク、レファレンスサービス、ブックトークの意義と方法 )
2)演習①(読み聞かせ1)
第4回<講義と演習>
1)児童サービスの歴史、児童図書館員の専門性
2)演習②(読み聞かせ2)
第5回<講義と演習>
1)児童資料の特色と選択②(昔話、その他の伝承文学、わらべうた、詩)
2)演習③(読み聞かせ3)
第6回<講義と演習>
1) 児童資料の特色と選択③(創作児童文学:幼年文学 )
2)演習④(読み聞かせ4)
第7回<講義と演習>
1)児童資料の特色と選択④(創作児童文学:中高学年・YA文学 )
2)演習⑤(読み聞かせ5)
第8回<講義と演習>
1)児童資料の特色と選択⑤(ノンフィクション、伝記、レファレンスブック)
2)演習⑥(読み聞かせ6)
第9回<オンデマンド授業>
1)児童資料の特色と選択⑥(図書以外の資料:逐次刊行物・布の絵本・マルチメディアDAISY・電子書籍)
2)小レポート(調べた資料について)
第10回<講義と演習>
1)児童サービス業務①(児童資料の収集と管理)
2) 演習⑦(読み聞かせ7)
第11回<講義と演習>
1)児童サービス業務②(書評、ブックリスト、展示、読書キャンペーン)
2)演習⑧(書評・紹介文の書き方)
第12回<講義と演習>
1)児童サービス業務③(児童室の環境整備、企画と運営、広報活動 )
2)最終課題の説明(『子どもと本』(松岡享子著)を読み、章をひとつ選んでレポートを書く)
3)演習⑨(ストーリーテリング)
第13回<講義と演習>
1)児童サービスの広がり①(乳幼児サービス、YAサービス、特別支援サービス)
2)演習⑩(ブックトーク1)
第14回<講義と演習>
1)児童サービスの広がり②(学校および関連諸機関との連携・協力、子どもの読書活動の推進と公共図書館、ボランティアとの協働)
2)演習⑪(ブックトーク2)
第15回<まとめ>
1)最終課題をもとにグループ・ディスカッションと発表
2)児童サービスの課題と展望