担当者 | 原田 亜希子教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択必修 2単位 [史学科] | |
科目ナンバリング | HEA-202 |
この授業では、近世のイタリアの歴史を概観します。ルネッサンス期のイタリアは美術をはじめとしてヨーロッパを牽引する存在でしたが、16世紀以降は新大陸の「発見」や、宗教改革によるキリスト教世界の分断、そして16世紀半ば以降はスペインの覇権下に入り、さらに後の国民国家形成のための国家統一も見られなかったために、衰退していったとみなされてきました。しかし近世イタリアは本当に衰退の一途をたどったのでしょうか。この授業では15世紀後半から18世紀にかけてのイタリアを構成する様々な国家の様子を概観し、近年の研究成果を紹介しながら近世イタリアを再検討します。中でも後半ではキリスト教の精神的トップでありながら、同時に中部イタリアを統治した教皇を君主とする教会国家(教皇領)の状況をとりあげます。これらの考察を通じて「近世」という時代や、「近世国家」というものがどのようなものだったのかを考えていきます。
近世ヨーロッパの歴史の流れを理解し、それを自分の言葉で表現できるようになる
資料を批判的に読み解く力をみにつける
中間テスト(40%)、期末レポート(60%)
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 教科書は使用せず、授業の項目ごとにレジュメ・資料を配布し、随時参考文献を紹介します。 | ||
参考文献 |
毎回必ず前の講義時に配布したレジュメ・資料を確認し、内容を整理してください。
授業で紹介する参考文献の該当箇所を読んでおいてください。
この授業で扱う内容は高校世界史ではほとんど取り上げられていない項目です。そのため、特に西洋史コース以外の学生の場合は、必ず事前に世界史Bの教科書や西洋史概説の基本文献を読み、同時代の全体的な流れを理解したうえで授業に臨んでください。また歴史は暗記科目ではありません。ただ情報を得るだけでなく、講義内容をもとに前近代の西洋世界とは現実的にいかなる社会であり、自らが所属する現在社会といかに違うのかを考えるという積極的な姿勢で授業に参加してください。
回 | 授業内容 |
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第1回 | ガイダンス:イタリア史における「近世」とは |
第2回 | 15世紀後半のイタリア(1):ローディの和によるイタリアの平和 |
第3回 | 15世紀後半のイタリア(2):イタリア戦争 |
第4回 | 16世紀前半のイタリア(1):カール5世とイタリア |
第5回 | 16世紀前半のイタリア(2):対抗宗教改革とイタリア |
第6回 | 16世紀後半のイタリア:スペイン覇権の確立 |
第7回 | 17、18世紀のイタリア:イタリアの啓蒙改革 |
第8回 | 前半の講義のまとめと補足(LMSによるオンデマンド形式) |
第9回 | 中間テスト(60分)、授業内解説 |
第10回 | 教皇領の変遷とアヴィニョンからの教皇庁のローマ帰還 |
第11回 | 15世紀後半の教会国家:勢力均衡の要として |
第12回 | 16世紀前半の教会国家:領域回復の動き |
第13回 | 16世紀後半の教会国家:中央体制の整備 |
第14回 | 17、18世紀の教会国家:普遍的権力の陰りを前に |
第15回 | 後半の講義のまとめと補足 |