日本史特殊講義5B-Ⅰ
担当者宮川 麻紀教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングJPH-209

授業の概要(ねらい)

日本古代に起きた様々な事件の背景には、どのような政治体制や社会状況があったのか、学んでいく。扱う時代は5世紀から11世紀頃まで、すなわち古墳時代・飛鳥時代・奈良時代・平安時代である。大王を中心としたヤマト王権の政治体制の成立、律令国家の成立と展開、平安時代の摂関政治などについて、分かりやすく解説する。また、「天皇」の誕生と変質や、古代都市である「京」の成立、武士の発生、貴族文化など、様々なテーマを学ぶ。授業は基本的に講義形式であるが、講義内容から習得したことや考えたことを、論述式の中間テストやレポートで論じてもらう。古代は遠い昔でミステリアスなイメージがあるが、意外と私たちの身の回りのものやその名前にも、古代に淵源をもつものが多い。また、日本中世・近世・近現代史や外国史を学ぶ前提としても、日本古代史を学んでおくことは重要である。

授業の到達目標

①日本古代史の諸テーマについて、簡潔に説明できる。
②各テーマについて、どのような説があるか修得する。
③自ら問いを立て、自分の力で考察できる。
④自説を文章化することができる。

成績評価の方法および基準

(1)中間テスト 持ち込み可、論述式40%
(2)期末レポート60%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献『大学でまなぶ日本の歴史』木村茂光・小山俊樹・戸部良一・深谷幸治吉川弘文館
参考文献『テーマで学ぶ日本古代史』社会・史料編、政治・外交編佐藤信監修、新古代史の会編吉川弘文館

準備学修の内容

以下のような準備学修をしなければ、テストやレポートで評価を得ることが難しくなる。
・授業プリントを見直し、分からない部分は各回の参考文献を読み、復習する。
・『大学でまなぶ日本の歴史』の指定箇所を読み、基礎的な知識を得る。
・レポートに備えて、参考文献を自分で探しておく。

その他履修上の注意事項

出席状況や授業態度も評価に反映させる。
ここに挙げた以外の参考文献は、授業内で紹介する。
欠席した回のプリントを早めに入手し、テストに備えることが必須である。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション
・日本古代史とは
・各回のテーマと評価方法の説明
第2回講義 ヤマト王権の誕生と支配体制
・ヤマトに誕生する支配体制と豪族の反乱
・倭の五王と宋王朝
第3回講義 部民制と氏姓制[オンライン]
・豪族と支配民との関係
・氏名(ウジ名)―名字のルーツ―
第4回講義 蘇我氏台頭と大化改新
・蘇我氏・物部氏の政権と厩戸皇子
・乙巳の変と大化改新
第5回講義 律令制の導入と地方支配の変化
・「近江令」から養老律令までの変遷
・評制から国郡里制へ
・壬申の乱
第6回講義 飛鳥の荘厳化
・磐余・磯城から飛鳥への王宮の移動
・都市化する飛鳥
第7回講義 官僚制と官人の生活
・官人の仕事・給与・生活
・都での暮らしぶり
第8回講義 京の成立と展開
・藤原京の成立と終焉
・平城遷都と京の構造
第9回中間テスト
講義 律令国家財政と流通
・租庸調と中央・地方の財政システム
・東西市と流通、商人
第10回講義 地方支配とその変質
・国司・郡司の任務
・金石文・木簡からわかる地方の実態
第11回講義 「天皇」の変質
・大王から天皇へ、天皇の性質の変化
・天皇と太上天皇(上皇)
・天皇の衣服・儀礼
第12回講義 古代社会の変質と政変
・伝統的氏族の没落と度重なる政変
・藤原北家の台頭と摂関政治の始まり
第13回講義 貴族と武士
・地方社会の変化と富豪層の発生
・天慶の乱と武士の発生
・宮廷に仕える武官
第14回講義 摂関期の政治と文化
・摂関をめぐる争い
・平安時代のキサキと国母
・怨霊信仰とケガレ
第15回講義 古代日本と国際関係
・唐・新羅・渤海との関係性
・国際社会で活躍する商人