文化遺産Ⅱ
担当者山田 大樹
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングCAS-102

授業の概要(ねらい)

文化遺産の保護理念とその制度は、貴重な文化遺産が失われるという悲しい出来事を経て徐々に発展してきました。逆説的ですが、文化遺産を保護するための理念や制度は、災害を含む文化遺産の危機によって形成されたとも言うことができるかもしれません。では、文化遺産を毀損滅失(傷つけたり失うこと)する要因はどのようなものがあるのでしょうか。国内外の文化遺産は、不注意や無関心、管理不足だけでなく震災や火災、戦災や人災によって毀損滅失しています。本授業では、文化遺産を毀損滅失に強く影響する災害に特に着目し、その被災した文化遺産がどのように扱われ、授業を通して、世界の情勢や社会の価値観の変化によって、文化遺産の保護概念が今日に至るまでにどのように変わってきたのかを理解できるようになることが本授業のねらいです、また、文化遺産保護の取り組み、被災文化遺産の修復や復元の課題について学びます。さらに、実際の現場で被災文化遺産建造物の修復・復元に携わっている専門家から講義をしてもらうことで理解を深めます。

授業の到達目標

文化遺産保護の取り組みについて理解を深め、受講生自身の言葉で事例を踏まえながら文化遺産をどのように保護していくべきかを説明できるようになることが目標です。

成績評価の方法および基準

①授業内レポート/リアクション 30% ②レポート50% ③LMS内テスト20%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献文化財/文化遺産としての民俗芸能 無形文化遺産時代の研究と保護俵木悟勉誠出版、2018年、¥4,620
参考文献女人禁制の人類学―相撲・穢れ・ジェンダー鈴木 正崇法蔵館、2021年、¥2,750
参考文献江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統原田実星海社新書、2014年、¥902
参考文献文化財の紹介文化庁文化庁HP, https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/
参考文献イスラームと文化財野口淳・安倍雅史編新泉社、2015年、¥2,750
参考文献掠奪されたメソポタミアローレンス・ロスフィールド 著, 山内 和也 監訳NHK出版, 2016年、¥4,400
参考文献世界文化遺産の思想西村 幸夫、本中 眞編東京大学出版会、2017年、¥3,080

準備学修の内容

次回授業のテーマに併せて、授業内で紹介する参考図書や資料を読んで、テーマに対しての理解を深めておくこと。

その他履修上の注意事項

 身近な文化遺産や、文化遺産に関するニュースに積極的な関心を寄せて考え、自分なりの考えをもって授業に臨んでください。グループディスカッションやディベートを数回行います。積極的に参加してください。

授業内容

授業内容
第1回特別講義[牧野先生代講]
第2回オリエンテーション(文化遺産が毀損・滅失する要因)
第3回文化遺産の保護理念および制度の発展
第4回文化遺産と震災1(東日本大震災で被災した文化遺産の修復・再生) [外部講師による講義]
(当日レポート)
第5回建造物の修復と復元に関する国際憲章[オンライン授業]
第6回文化遺産と震災2(ネパール・カトマンズ盆地)
第7回文化遺産とコロナ禍1(文化遺産への影響)
第8回文化遺産とコロナ禍2[ディスカッション](コロナ禍は社会と文化遺産との関係をどのように変えたのか)
第9回文化遺産とコロナ禍3(社会と文化遺産との関係性)
第10回文化遺産と戦災(戦時下の文化遺産の保護)
第11回文化遺産とバンダリズム(アフガニスタン・バーミヤーン)
第12回文化遺産の復元[ディベート](バーミヤーン大仏の復元問題)
第13回文化遺産と気候変動(ベトナム・フエ・嘉隆帝廟)
第14回文化遺産と火災(沖縄・首里城)
第15回講義の振り返り、まとめ