ドイツ文化論Ⅱ
担当者大田 浩司教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [外国語学科 2016年度以前入学]
科目ナンバリングARS-110

授業の概要(ねらい)

この授業では「ラブレター」という観点から、ドイツを中心としたヨーロッパの社会と文化について考察します。ラブレターとはメディアをつかった愛のメッセージのやりとりのことです。昔から人間は愛する人が今ここにはいないさびしさを、さまざまなメディアを使って埋め合わせようとしてきました。メディア技術の発展と共にラブレターの形は変わっていき(手紙 → 電話 → Eメール → SNS)、ラブレターの形の変化は人々の愛のありかたに大きな影響を与えました。この授業ではドイツの中世から現代にいたるさまざまな人々のラブレターを分析することを通じて、社会やメディア環境の変化はどのように人間のコミュニケーションと性愛の形を変容させてきたのかを探求します。また日本とドイツのラブレターと恋愛観の比較も行います。

授業の到達目標

①ドイツ語圏の社会と文化についての基礎知識を得る。
②社会やメディアの形態が人間の意識や欲望にどのように影響を与えているのかを理解できる。
③ドイツ語圏と日本の社会・文化を比較し、客観的な視点を持って分析できる。
④特定の社会的・文化的事象についてレポートの形で論理的・客観的に論述できる。

成績評価の方法および基準

平常点(毎回提出するリアクションペーパー)(50%),学期末試験(教場レポート)(50%)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献『ドイツ文化55のキーワード』宮田眞治ほか編著ミネルヴァ書房
参考文献『ハプスブルク帝国の情報メディア革命―近代郵便制度の誕生』菊池良生集英社新書
参考文献『メディアとしての電話』吉見俊哉ほか著弘文堂
参考文献『メディア論―人間の拡張の諸相』M.マクルーハン(栗原裕/河本仲聖訳)みずず書房
参考文献『若きウェルテルの悩み』ゲーテ(高橋義孝訳)新潮文庫

準備学修の内容

適宜紹介する参考文献をしっかりと読んでください。また普段からテレビ、インターネット、新聞、雑誌などを通じて積極的にドイツの情報を得るようにしてください。

その他履修上の注意事項

毎回リアクションペーパー(授業内容のまとめと自分自身の見解)を提出してもらいます。リアクションペーパーはルーブリックに基づいて評価し、次回の授業でフィードバック(解説)します。リアクションペーパーは成績評価のための重要な対象となるのでしっかりと記述してください。なお、第14回目の授業はオンライン(LMSによるオンデマンド形式)で行いますので、注意してください。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション:ラブレターとは何か
第2回中世のラブレター、ミンネザング、絵画に描かれたラブレター
第3回活版印刷術の発明とラブレター
第4回郵便システムの歴史
第5回「書簡の世紀」となった18世紀
第6回ゲーテの恋文、書簡体小説『若きウェルテルの悩み』[1]
第7回ゲーテの恋文、書簡体小説『若きウェルテルの悩み』[2]
第8回カフカの恋文
第9回電話と恋愛[1]
第10回電話と恋愛[2]
第11回乗り物と恋愛(馬車、鉄道、自動車)
第12回デジタルメディアと恋愛[1](PC、携帯電話、SNS)
第13回デジタルメディアと恋愛[2](PC、携帯電話、SNS)
第14回【オンライン】現代のポップカルチャーにおける恋愛の形
第15回授業の総括と学期末試験(教場レポート)