ヘリコプター工学概論
担当者平本 隆
学年・開講期3年次 前期  [理工学部 航空宇宙工学科]
科目の種類専門
区分・単位選択 2単位
科目ナンバー2B215

授業の概要(ねらい)

ヘリコプターの基本機能をローターブレード機構原理や空力理論、ホバリング等の飛行原理等と結びつけて理解します。また、基本的な艤装・動力システムの概要、騒音や飛行安全を含む運用での課題、さらに、セットリング・ウィズ・パワーやテールローター機能喪失等運航中に発生する異常事象のメカニズムについても学びます。
この講義では、DP1に関する現場での課題の理解に必要な知識等を修得します。
本科目は、実務経験のある教員による授業です。担当教員は企業において、回転翼機の設計プロジェクト業務に携わっており、授業では、企業における実例や実体験、現場での課題などを題材とした議論等を行います。

授業の到達目標

航空機に係わる空気力学等の基礎的な知識をベースに航空機の中でも特異な形状・システムを有するヘリコプターの飛行特性を理解すること、ヘリコプターを構成する各種装置を知ることが目標であり、具体的には以下の通り。
①ヘリコプターに関する空力理論、飛行原理、安定性・操縦性に関する基本的な事項を説明できる
②機会システムとしてのヘリコプターを飛行させるための機構装置、動力伝達装置の概要を説明できる
③固定翼機とは異なる様相を持った構造の特性、降着装置等について特徴を理解し、説明できる

成績評価の方法および基準

定期試験の成績に基づいて評価する。(100%)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書特になし。各回の講義毎にプリントを配布する。
教科書
参考文献ヘリコプタ(新航空工学講座)(第3版)、ISBN 978-4902151312佐藤裕也 他日本航空技術協会
参考文献図解 ヘリコプター、ISBN 978-4062573467鈴木英夫講談社ブルーバックス
参考文献ヘリコプターの最新知識、ISBN 978-4797353341坪田敦史サイエンス・アイ新書

準備学修の内容

講義で用いるプレゼンテーション資料を事前にLMSに掲載します。講義前に該当分を見て予習をしてください。空力特性、性能などの項目では、適宜例題も提示しますので、予習として解いてください。また、毎回、講義の理解度を確認するための演習問題を出します。これは成績評価に使うことはありませんが、定期試験問題のレベルとしますので、確実に解けることが大切です。提出されたものについては、採点して返却します。予習、復習を含めて、2時間を見込んでいます。

その他履修上の注意事項

航空工学の知識をベースにするので、航空工学概論、航空機力学を修得することを薦めます。

授業内容

授業内容
第1回ヘリコプターの概要:ヘリコプターの歴史、基本的なシステム構成、用途等を学ぶ。
第2回ローター・システム:メイン・ローターの機構、ヒンジ、ハブ、スウォッシュ・プレート等主要構成要素を学ぶ。
第3回操縦系統、トランスミッション:ヘリコプターを飛ばす機構のメカニズムを理解する。
第4回ヘリコプターの力学:ヘリコプターの運動を理解するために空気力学を含む基本的な基礎力学を学ぶ。
第5回飛行理論の基本:ローター理論の基本である運動量理論と翼素理論について学ぶ。
第6回ホバリング:ホバリングにおける空気力と機体の釣り合い、操舵による姿勢制御について学ぶ。
第7回前進飛行:前進飛行時の空気力と機体の釣り合いとブレードの運動について学ぶ。
第8回オートローテーション:オートローテーション時のローター運動、H-V線図について理解する。
第9回パワー曲線、飛行性能:ヘリコプターの飛行におけるパワーの考え方とパワー曲線に関連した主要性能について学ぶ。
第10回テール・ローター:ヘリコプターのテール・ローターの働きと仕組みを学ぶ。
第11回安定性、操縦性(1):ヘリコプターの基本的な飛行安定性について学ぶ。
第12回安定性、操縦性(2):ヘリコプターの基本的な操縦性、クロス・カップリングなど特徴的な飛行特性について学ぶ。
第13回構造、降着装置:ヘリコプターの構造および降着装置の特徴(固定翼機との相違等を含む)を学ぶ。
第14回振動、騒音:ヘリコプターの振動発生原因と制動装置、騒音低減への取組みについて理解する。
第15回まとめと試験:講義全体のまとめを行い、ヘリコプターに対する理解を深める