地方財政学特論
担当者宋 宇
学年・開講期1年次 前期  [地域経済政策学専攻 博士前期課程(修士課程)]
科目の種類専門
区分・単位選択 2単位
科目ナンバー

授業の概要(ねらい)

本講義は財政学、特に地方財政学に関する大学院レベルの基礎知識を学習します。「財政とは何か」というのは大学生に意識してもらいたい問題だとしたら、「大きく変化している現代社会において、改めて財政のあり方について考える」というのは大学院生の課題だと認識しています。すなわち、グローバル化、少子高齢化、財政赤字、政府間財政関係、地方財政の対人社会サービス等、様々な現実問題の中、改めて公共部門の役割について考え、検討していくというのは本講義の狙いである。受講者のレベルや研究課題を加味し、国家財政、政府間財政関係、地方財政に関する専門知識を学習します。国際比較の手法も多く使われています。
さらに、レジュメ作成、個人発表、および討論を通じて、財政・地方財政の内容のみならず、課題を分析する能力、研究手法、データ収集などを学び、各自の研究テーマに応用できるようにと期待しています。
この授業では、DP2に関することを習得します。

授業の到達目標

履修者は財政の役割を理解し、財政の観点から現実的な課題を分析することができます。そして、自分が住まれている地域の住民として意識を高め、その立場から地方財政の課題を検討し、解決案を模索することができます。さらに、論文作成に欠かせない論理的な思考を高め、自ら問題を提起することができ、修士論文のフレームワークについて土台づくりの学習ができます。

成績評価の方法および基準

・輪読レジュメの作成と発表(40%)、講義内の討論・発言(40%)、毎回の整理・学習・感想文、リアクションペーパー(20%)

・フィードバックの方法
授業内、またはメール形式で随時にフィードバックします。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『地方財政を学ぶ』(2017)沼尾波子・池上岳彦・木村佳宏・高端正幸(著)
有斐閣ブックス
参考文献『財政学』(2005)金澤文男有斐閣
参考文献『日本財政の現代史Ⅰ 土建国家の時代 1960〜85年』(2014)井手英策(編)有斐閣
参考文献『日本財政の現代史Ⅱ バブルとその崩壊1985〜2000年』(2014)諸富徹(編)有斐閣
参考文献『日本財政の現代史Ⅲ 構造改革とその行き詰まり 2001年~』(2014)小西砂千夫(編)有斐閣

準備学修の内容

予習:2時間程度
・輪読のレジュメを作成し、疑問点・論点を提示します。わからない言葉があったら、事前に調べてみます。
・パソコンメールの書き方、研究室訪問の仕方、文章の書き方、参考文献の書き方、まず各自で書籍などを通じて調べ、学習しましょう。

復習:2時間程度
日頃、自分の研究課題、テーマについて、情報を収集し、研究サーベイします。思いついたアイディア、研究方法などがあれば、適宜に記述し、第15回目の「研究テーマ指導」に活用できるように準備してください。
リアクションペーパーを作成します。

その他履修上の注意事項

・特に事情がない限り、毎回の出席が求められます。連絡なしの欠席が認められません。
・履修者の状況や人数に応じて、授業内容の計画を変更する場合があります。
・学部の「財政学」「租税論」の授業も聴講すると良いでしょう。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス-研究テーマの紹介、進行などについて
第2回イントロダクション―財政、地方財政を学ぼう
第3回地方財政の全体像(1)―日本の地方財政
第4回地方財政の全体像(2)―政府間財政関係
第5回地方財政の全体像(3)―日本の政府間財政関係
第6回地方財政の全体像(4)―経費論
第7回地方財政の全体像(5)―予算論
第8回小括と質問タイム、中間まとめ(具体的にはそれまでの問題またはテーマごとにディスカッションしていき、一緒に問題を考えていきます。)
第9回テキスト輪読と発表①―財政のレンズをとおして社会を透視しよう
第10回テキスト輪読と発表②―小さな政府はどのようにつくられたか
第11回テキスト輪読と発表③―成長しなければ不安になる社会
第12回テキスト輪読と発表④―公共投資にたよった日本社会の限界
第13回テキスト輪読と発表⑤―柔軟で厚みのある社会をささえる教育
第14回テキスト輪読と発表⑥―税の痛みが大きな社会をつくりかえる
第15回総括、ディスカッション&研究テーマの個人指導