翼まわりの流れ学
担当者越岡 康弘
学年・開講期3年次 前期  [理工学部 航空宇宙工学科]
科目の種類専門
区分・単位選択 2単位
科目ナンバー2B212

授業の概要(ねらい)

この授業では主として亜音速域での飛行理論の基礎を学びます。超音速機も離発着時は亜音速で飛行します。
授業のねらいは、飛行理論を流体力学の理論に基づき理解することです。
大気の性質、翼の断面形状、翼に働く揚力とモーメント、揚力線理論、3次元翼と誘導抗力、粘性と境界層などについて学びます。
この科目は、ディプロマポリシーDP2に関連する科目です。

授業の到達目標

飛行機はその翼に生じる揚力により大空を自由に飛ぶことができます。この揚力を効果的に生み出すために、飛行速度に応じて翼の断面形状を設計し、また場合によっては補助翼などを利用したりします。揚力はどのような原理で発生するのかを理解するとともに、翼の性能を評価するための揚力係数や抗力係数などが設計上重要なパラメータであることを理解しましょう。翼まわりの完全流体の理論は揚力を定量的に把握する上で重要です。また翼まわりの流れが粘性によってどのような影響を受けるかを理解しましょう。さらに飛行機の高速化の歴史の中で翼型はどのように変化してきたか、また揚力理論がどのように発展してきたかを理解しましょう。

成績評価の方法および基準

揚力の発生原理について理解することが重要です。翼の特性を表す揚力係数や抗力係数が迎角やレイノルズ数とどのような関係にあるかなど翼に関する諸概念を理解しているかによります。
成績評価は、主に期末テストの結果によって行ないます(70%)。
授業の後半に練習問題のための時間を設け、次週の授業開始時に提出してもらい、解説を行うことで、フィードバックを行います。この課題提出により出席を確認し、併せて 評価の補助とします(30%)。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書プリント資料を配布します。
参考文献

準備学修の内容

2年後期の「複素関数」の結果を利用しますので、コーシー・リーマンの関係式や等角写像などの確認をお願いします。また、練習問題とその解説を通じた講義内容の理解の確認を行い、必要に応じてプリントでの確認、授業での質問により、理解の積み残しのないように受講を進めてください。
当該期間に45時間以上が上記の予復習に必要です。

その他履修上の注意事項

翼理論では数学を利用した解析が多用されるため、物理的なイメージが持てるように、解析と物理現象をつなぎ合わせるようにして、理解を進めてください。物理的なイメージがつかめない時は、何がわからないかをはっきりさせ、質問や参考書の参照などにより、理解の積み残しのないよう受講を進めてください。
参考図書:以下の図書については図書館で閲覧して理解を深めてください。
 前 田 弘 著 『翼のはなし』 株式会社養賢堂
 J. D. Anderson, Jr., “Fundamentals of Aerodynamics Fourth Edition”, McGraw-Hill
 谷一郎 著「流れ学」岩波全書(図書館の資料IDは423.8/Ta87です。)
 今井功 著「流体力学」岩波全書

授業内容

授業内容
第1回大気の性質
第2回翼の断面構造
第3回揚力の発生機構
第4回翼に働く力とモーメント、重要な無次元数
第5回風圧中心
第6回完全流体の渦なし流れ(循環、流れ関数、複素速度ポテンシャル)
第7回完全流体の渦なし流れ(基本的な流れ、クッタの条件)
第8回完全流体の渦なし流れ(二次元物体のまわりの流れ)
第9回完全流体の渦なし流れ(クッタ・ジューコフスキーの定理)
第10回完全流体の渦なし流れ(等角写像)
第11回完全流体の渦なし流れ(非対称翼、Vortex Sheet)
第12回翼型と空力特性
第13回古典的薄翼理論
第14回翼に働く抗力(粘性の影響、境界層の剥離)
第15回3次元翼、誘導抗力