精神分析学
担当者池田 政俊教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [心理学科 2018年度以降]
科目ナンバリングPSS-201

授業の概要(ねらい)

 精神分析学は、フロイトによって創始された人間のこころを研究する方法であり、その方法によって得られた経験の集大成であり、理論であり、治療の技術である。その基本仮説は、人格や性格や精神機能のうちに、発生的、力動的、経済的な一連の現象を展開させている無意識の過程の存在である。実際に成人の患者を理解するための基本的な方法は、自由連想法と呼ばれる。
 精神分析学は、はじめから学問体系を作り上げようとして構築された抽象的な論理的一貫性のある学問ではなく、あくまでも治療という臨床現場の要請にこたえようとしているうちに構築されてきた極めて人間的な、未だに変化しつつある学問体系であり臨床的知見であり治療法であり人間理解の方法である。本講義では、そうした方法論的特徴に基づく限界や有用性を踏まえつつ、精神分析学の基本の概要を学ぶことを目的とする。可能であれば小グループに分かれてのディスカッションを行う予定である。

授業の到達目標

 この講義は臨床実践領域の知識を修得し、その法則や理論を説明できることを目標としている。具体的には、精神分析学の基本理論の概要を系統的に学び、知識を修得する。

成績評価の方法および基準

 14回目にオンライン授業としてLMS上で試験を行う。これが80%の予定である。出席は義務づけないが、期間中数回講義ノートの提出という形で出席を取る。講義ノートとディスカッションの評価が20%の予定である。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 なし
参考文献『新体系看護学全書:精神看護学Ⅰ/精神看護学概論/精神保健 第5版』  第1章Ⅱ精神(心)の構造とはたらき  岩崎弥生、渡邉博幸(編)
 (該当部分pp45-70:池田政俊)
メヂカルフレンド社
参考文献『集中講義・精神分析 上、下』。  その他、講義中に適宜提示する。 藤山直樹岩崎学術出版社
参考文献精神力動的精神医学ーその臨床実践 第5版(DSM-5準拠) グレン・O・ギャバード(著)、奥寺崇(監訳)、白波瀬丈一郎(監訳)、池田暁史(監訳)
岩崎学術出版社

準備学修の内容

 予めLMSおよびWEB上(URLは下記)で公開する講義ノートを一読し、講義内およびLMS、ホームページで提示する参考文献に目を通し、A4で1枚程度のレポートとしてまとめてくることが望ましい。

その他履修上の注意事項

 真剣に学ぼうとしている他の学生の邪魔をしないこと(私語、携帯電話など)。
 主体的、創造的な参加が望まれる。
 池田のHP:http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/~m-ikeda/index.htmを適宜参照すること。
 (パスワードは8号館7階心理学実験準備室前に掲示するほか、講義内でも適宜伝える。)

授業内容

授業内容
第1回以下の予定であるが、あくまでも目安である。
序論
精神分析とは何かについて学ぶ。
力動的心理療法の目標、フロイト、主たる学派、学会などについて学ぶ
I 無意識の存在について学ぶ
 (1)無意識の発見と証明
 (2)夢判断
第2回II 自由連想法について学ぶ
III メタサイコロジーについて学ぶ
 (1)序
 (2)基本用語について学ぶ
第3回 (3)局所論(構造論)的観点について学ぶ
 (補)不安について学ぶ
第4回 (4)力動論的観点について学ぶ
 (5)エネルギー経済論的観点について学ぶ
第5回 (6)適応論的観点について学ぶ
 (7)発生・発達論的観点について学ぶ
  固着と退行について学ぶ
第6回  精神性的発達論、エリクソンの理論について学ぶ
  口唇期、肛門期、エディプスコンプレックスと男根期、について学ぶ
第7回  潜伏期(児童期前期)、前思春期(児童期後期)、思春期前期、思春期中期、思春期後期(青年期)について学ぶ
  初期成人期(後青年期)、成人期(中年期、老年期)について学ぶ
第8回対象関係論について学ぶ
Iクライン学派の考え方(ビオンを含む)
 (1)心の中の世界(内的世界)について学ぶ
第9回 (2)本能・幻想・心理的深部構造について学ぶ
 (3)内的世界の発展(妄想的で迫害的な世界)について学ぶ
 (4)内的世界の発展(現実的抑うつ的世界、歴史的主体の誕生)について学ぶ
 (5)妄想-分裂ポジションと抑うつポジションとの間でについて学ぶ
第10回 (6)感情・思考・対象について学ぶ
 (7)感情の発達-対象との関係からについて学ぶ
 (8)内的対象関係について学ぶ
第11回IIウィニコットの考え方について学ぶ
 (1)総論
 (2)主観的対象の時期について学ぶ
第12回 (3)移行対象の時期について学ぶ
 (4)全体対象関係性の時期について学ぶ
 (5)可能性空間について学ぶ
第13回 
IIIその他の対象関係論者たちの考え方(フェアバーン、バリントなど)について学ぶ
IVコフートと自己心理学について学ぶ
Vラカンについて学ぶ
  ラカンとフロイト・クライン・ウィニコットについて学ぶ
VI精神分析学から見た間主体性、間主観性について学ぶ
第14回オンライン授業:LMS上で試験とまとめ
第15回 試験解説、その他。